リゴレット【四重唱・美しい恋の娘よ】歌詞と対訳|Un dì, se ben rammentomi

リゴレット・第3幕

マントヴァ公爵に遊ばれて捨てられたジルダとその父リゴレットが、公爵がナンパするのを物陰から見る、シュールな四重唱です。

公爵

貴族の服だと警戒されてナンパに成功しないので、将校の服を着て変装。女性を誘惑中。

マッダレーナ
軽くあしらいつつも、その気になる。

ジルダ

ひどい。あの口説き文句、私に言ったわ。

リゴレット

あいつの本性がわかっただろう。

陽気な公爵と女性の歌の裏に、ジルダの悲痛な声、リゴレットの怒りが重なります。オペラ「リゴレット」の中でも、見どころの場面です。

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「四重唱・美しい恋の乙女よ」Un dì, se ben rammentomi【歌詞と対訳】

Un dì, se ben rammentomi,
O bella, t’incontrai…
Mi piacque di te chiedere
E intesi che qui stai.
Or sappi che d’allora
Sol te quest’alma adora.

公爵

ある日、私の記憶が正しければ…
美しき者よ、私はあなたに会ったね…
あなたのことをお聞きして嬉しかったよ
そして、あなたがここにいると知った。
あれ以来、(慕っていることを)わかってくれ
この魂はあなただけを慕っていることを

(Iniquo!)

ジルダ

(ひどいわ!)

Ah! Ah!… e vent’altre appresso
Le scorda forse adesso?
Ha un’aria il signorino
Da vero libertino…

マッダレーナ
あら!・・・たくさんの他の女たちを、
もう忘れているのね?
お若い紳士のふりで
本物の遊び人だこと・・・

Sì… un mostro son …

公爵

そう、私はモンスターなんだ・・・

Ah, padre mio!

ジルダ

ああ、お父さん!

Lasciatemi,
Stordito.

マッダレーナ
放して、
おばかさん。

Ih, che fracasso!

公爵

なあ、騒ぐなよ!

Stia saggio!

マッダレーナ
賢くなりなさいよ!

E tu sii docile,
Non farmi tanto chiasso.
Ogni saggezza chiudesi
Nel gaudio e nell’amore.

La bella mano candida!

公爵

それなら、大人しくしてくれ、
大騒ぎしないでくれよ。
分別は締め出すんだ、
喜びと愛の中では。

美しい白い手だな。

Scherzate voi, signore.

マッダレーナ
冗談ですよね、旦那さん。

No, no.

公爵

いや、いや。

Son brutta.

マッダレーナ
私は、不細工ですよ。

Abbracciami.

公爵

抱きしめてくれ。

(Iniquo!)

ジルダ

(ひどいわ!)

Ebbro!

マッダレーナ
酔ってるのね!

D’amore ardente,

公爵

熱烈な愛に。

Signor, l’indifferente
vi piace canzonar?

マッダレーナ
旦那さん、あなたに無関心な者を
からかうのが好きなの?

No, no, ti vo’ sposar…

公爵

いいや、君と結婚したいよ・・・

Ne voglio la parola…

マッダレーナ
言葉が欲しいわ・・・

Amabile figliuola!

公爵

素敵な娘よ!

E non ti basta ancor?

リゴレット

それでもまだ足りないのか?

Iniquo traditor!

ジルダ

恥知らずの裏切り者!

Bella figlia dell’amore,
Schiavo son dei vezzi tuoi;
Con un detto sol tu puoi
Le mie pene consolar.
Vieni e senti del mio core
Il frequente palpitar.

公爵

美しい愛の娘よ、
私は君の魅力の奴隷だ、
君は一言で、
私の痛みを慰めることが出来る。
私の心を聞いて下さい。
激しい心の鼓動を。

Ah! ah! rido ben di core,
Che tai baie costan poco
Quanto valga il vostro gioco,
Mel credete, so apprezzar.
Son avvezza, bel signore,
Ad un simile scherzar.

マッダレーナ
ああ!心から笑えるわ、
その言葉は安っぽいのよ、
あなたの冗談の価値を、
信じてちょうだい、私は(価値を)評価できるのよ。
私は慣れてるのよ、素敵な旦那さん、
そんな冗談には。

Ah, così parlar d’amore
A me pur l’infame ho udito!
Infelice cor tradito,
Per angoscia non scoppiar.

ジルダ

ああ、このように愛について
あの悪い男が私に話すのを聞いたわ!
裏切られた不幸な心、
苦悩で爆発しそう。

Taci, il piangere non vale…
Ch’ei mentiva sei sicura.
Taci, e mia sarà la cura
La vendetta d’affrettar.
Sì, pronta fia, sarà fatale,
Io saprollo fulminar.

リゴレット

黙りなさい、泣いても仕方がない・・・
あいつの嘘をお前は確信したな。
黙りなさい、私は遂げよう。
急いでお前の復讐を
そう、準備は整っているのだ、すでに避けられない、
私はあいつを打ち倒してやる。

【解説】相性ぴったりなふたりと、それを見るジルダとリゴレット

四重唱で面白いと思った部分は、ここのやりとりです。

Son brutta.

マッダレーナ
私は、不細工ですよ。

brutta(brutto)・・・醜い

Abbracciami.

公爵

抱きしめてくれ。

(Iniquo!)

ジルダ

(ひどいわ!)

マッダレーナは公爵を軽くあしらう意味合いでの「私は醜いですよ。」に対して、「抱きしめてくれ」と答える公爵は遊び慣れた人物だとわかります。

普通なら「君は可愛いよ」「抱きしめよう」と言うところを、「抱きしめてくれ」と返事するセンスは面白いなと思います。

マッダレーナは恋愛に慣れた女性で、公爵は遊び人。ふたりの会話は流れるように自然でお似合いです。公爵にはジルダよりマッダレーナのほうがぴったりなのは明らかで、ふたりの様子を見るジルダは辛いですね。ジルダにはマッダレーナのような返事はできないですから。

一体誰が台本を書いたのか確認したら、「椿姫」や「シモン・ボッカネグラ」「運命の力」「マクベス」の台本を書いたフランチェスコ・マリア・ピアーヴェでした。

上のリンク先、ウィキペディアの内容が充実していて面白かったです。

  • ピアーヴェは脳卒中で倒れ、8年間半身不随に
  • 支援として、ヴェルディは歌曲集を出す企画を考えた

企画の内容は「有名な歌集に複数の作曲家が曲をつけて歌曲集を発売し、その印税をピアーヴェに渡す」というもの。

ヴェルディはその企画にワーグナーが参加することを望んだそうですが実現せず、他の作曲家たちが参加してアルバムが完成しました。

収録された曲が下の動画、ヴェルディの作った「Stornello」です。

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