トゥーランドット【この宮殿の中で】歌詞と対訳|In questa reggia

トゥーランドット この宮殿の中で

トゥーランドット・第2幕

トゥーランドットは、自分に求婚する王子たちに、「3つの謎を用意し、謎が解ければ結婚、解けなければ打ち首」という条件を出していました。3つの謎に挑む者は、皆死んでいくのでした。

トゥーランドットは謎に挑戦するカラフに対して、謎を出す理由と、謎解きへの挑戦をやめて欲しいとお願いします。その時に歌われるアリアが「この宮殿の中で」です。

さいひろ

オペラ「トゥーランドット」では、気の毒なリューが目立ちがちで、さらに有名なアリアはカラフの「誰も寝てはならぬ」なので、なにかと存在感の薄いトゥーランドット姫です。

ですが、こちらのアリアは、ソプラノ歌手が圧倒的な迫力を持って歌うので聞きごたえがありますよ。

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「この宮殿の中で」In questa reggia 歌詞と日本語訳

In questa Reggia, or son mill’anni e mille,
un grido disperato risonò.
E quel grido, traverso stirpe e stirpe
qui nell’anima mia si rifugiò!

Principessa Lo-u-Ling,
ava dolce e serena che regnavi
nel tuo cupo silenzio in gioia pura,
e sfidasti inflessibile e sicura
l’aspro dominio,
oggi rivivi in me!

トゥーランドット

この宮殿の中で、幾千年の昔、
絶望の叫びが響き渡りました。
その叫びは 血筋から血筋を通じて
この私の心の中に、彼女がひそんのです!

ロウリン姫は、
優しく 穏やかに、統治しました。
陰鬱な沈黙の中、純粋な喜びで(統治した)
そして、柔軟さと堅実さで、抵抗してきました。
異国の脅威に(抵抗した)
今日、私を通し、追体験するでしょう!

Pure nel tempo che ciascun ricorda,
fu sgomento e terrore e rombo d’armi.
Il regno vinto! Il regno vinto!

E Lo-u-Ling, la mia ava, trascinata
da un uomo come te,
straniero, là nella notte atroce
dove si spense la sua fresca voce!

トゥーランドット

皆が覚えているその時でさえ、
失望と恐怖と武器の音が響いていました。
国は破れました!国は破れました!

ロウリン姫は、私のご先祖は、運び去られました。
あなたのような男に
見知らぬ人よ、恐ろしい夜に
彼女の若々しい声は、死んでしまったのです。

O Principi, che a lunghe carovane
d’ogni parte del mondo
qui venite a gettar la vostra sorte,
io vendico su voi, su voi
quella purezza, quel grido e quella morte!

Quel grido e quella morte!
Mai nessun m’avrà!
Mai nessun, nessun m’avrà!

L’orror di chi l’uccise
vivo nel cuor mi sta.

No, no! Mai nessun m’avrà!
Ah, rinasce in me l’orgoglio
di tanta purità!
Straniero! Non tentar la fortuna!
Gli enigmi sono tre, la morte una!

トゥーランドット

王子たちが、長いキャラバンでやってくる、
世界中から
ここに来て、あなたたちはクジを引きにきます。
私は復讐します、あなたに、あなたに
純粋なもの(姫)の、その叫び、そして、その死!

その叫びとその死!
誰も私を抱きません!
誰も、誰も、私を抱くことはないのですよ!

彼女を殺した人々への恐怖は
私の心の中に住んでいるのです。

いいえ いいえ!誰も私を抱きません!
ああ、誇りが生まれ変わります。
とても純粋な(誇り)!
外国人よ!あなたの運命を試さないでください!
3つの謎、1つの死があります!

No, no! Gli enigmi sono tre,
una è la vita!

カラフ

いや、いや!謎は3つあり、
1つは、生である!

念入りな拒絶と「謎解きをやめるようにお願い」

Mai nessun m’avrà! nessun-dormaMai nessun, nessun m’avrà!
誰も私を抱きません! 誰も、誰も、私を抱くことはないのですよ!

Non tentar la fortuna!
あなたの運命を試さないでください!

「この宮殿の中で」は、「深刻」で念入りな拒絶とお願いです。

これまで謎に挑戦した王子たちはこの言葉を聞いて、全員挑戦したのでしょうか。

「あなたの気持ちを尊重しますよ」と、誰かが謎解きから引き下がっていたら、トゥーランドットは案外、謎解きを辞退した人を選んでいたのではないかな、と思います。謎解きがイベントになっていて、人々が見守る中、謎を解かずに去るのは、難しい決断ですから。辞退して「よかった!!」と姫に喜ばれる可能性もあるけれど。

後でカラフが歌うアリアはNessun dorma」誰も寝てはならぬ 同じく「誰も」を何度も使っているのはつながりを感じます。カラフは、意図的に「誰も」という言葉を選んだのでは。

トゥーランドットはなぜ、そこまで男を拒否するのか?

何千年も前の話を持ち出して、結婚を拒否するのはおかしいのではないか?と、これまでトゥーランドットを見てきた人たちは思ったようです。

男性を拒否するのは、処女だから、説

正直、気持ち悪い説ですね。男性に体をゆだねるのがこわくて拒否した、説。

作品当時、世紀末芸術が流行っており、悪女はよくモチーフになっていた、説

19世紀末から20世紀前半に流行した、世紀末芸術に影響を受けた、説。

サロメ(好きな男の生首にキスをする女)
ユディト(男の首を自ら切り落とした女)

プッチーニの母と妻が、同じくらい強い女だった、説

作品が世に広まっていると、死後もプライバシーはないようです。プッチーニが、強くたくましい母と妻の影響を振り切るために、書き上げたのが、トゥーランドットという冷酷な姫だった、という説。

私は、世紀末芸術説です。

どれでもいいような気がしますが、お好みでどうぞ。

ちなみに、原作の「カラフ王子と中国の王女の物語」では宮中で自由に暮らせるのに、なぜ結婚しないといけないのか?」というものでした。宮中で書物を読んで気ままに暮らしたい、と言う理由です。なんというか一番リアルな理由かも。

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