「カラフ王子と中国の王女の物語」のあらすじ|トゥーランドット

プッチーニのオペラ「トゥーランドット」を見ていると、疑問がわいてきませんか?

・カラフの国が、滅んだ理由は?

・放浪の旅の道中は、どのようなものだったのか?

・多くの異国の王子たちが、姫は美人だと思って、次々と北京に訪れたのはなぜ?

・姫が結婚したくない理由にあげた、ローリン姫は姫にとってどれくらい重要人物だったのか?

・姫の謎は、なぜ3つ?

・結婚した二人のその後は?

すべての答えが、「千一日物語」の「カラフ王子と中国の王女の物語」でわかります。

原作からわかる、理由は、以下の通り。

・異国に攻められ、同盟を組んだ国に裏切られたから

・放浪の旅は、序盤は強盗に襲われるが、常に助けられ、幸運に恵まれる「わらしべ長者」的な旅

姫の肖像画を描いた絵師が、訪れた他の国々で、姫の美しさを吹聴したから

・原作にはローリン姫は存在しない。姫が結婚したくない理由は、宮中で自由に暮らしたいから

・謎の数は決まっていなかった。カラフが次々謎を解いてしまい、姫の用意した謎が3つだっただけ。姫は翌日に問題を出そうとしたが、王に「それはだめだ」と言われた

・結婚後、中国軍や旅で得た味方の国の協力で国を取り戻し、二人は中国を離れ、カラフの国で過ごした

「カラフと中国の王女の物語」は、トゥーランドットの元となっている作品なので、物語の情報量が多く、読み応えがあります。読んでいて興味深いなと思ったのは、下のことがはっきりと描写されている点。

カラフの描写・・・コーランの解釈に精通した、ムハンマドの教えを暗記している男
中国の王女・・・・王女の言葉に「釈迦」と出てくるので、中国仏教

異教徒同士の結婚(異宗婚)だと書かれています。物語とはいえ、実際にふたりで生活してどうだったんだろう、と考えると面白いですね。

タップできる目次

トゥーランドットの原作「千一日物語」

プッチーニの「トゥーランドット」は、ゴッツィの同名の戯曲を元に作られており、さらに戯曲の元となったのが、「千一日物語」の中の「カラフ王子と中国の王女の物語」です。

「千一日物語」の作者は、フランソワ・ペティ・ド・ラ・クロワです。

「千一日物語」の「カラフ王子と中国の王女の物語」
 ↓
ゴッツィの戯曲「トゥーランドット」
 ↓
プッチーニのオペラ「トゥーランドット」

プッチーニの作品だけ異なっているポイントは、「リュー」というキャラクターが加わったことです。プッチーニ好みの、けなげな女性です。

「千一物語」と「千一物語」は、別物です。

「千一夜物語」は、千夜一夜物語、アラビアンナイト、とも呼ばれています。

千一日物語「カラフ王子と中国の王女の物語」のあらすじ

カラフの国が、滅びる

カラフ、カラフ父が治める国に、巨大な隣国から「貢ぎ物を毎年渡せ」と要求が来た。「貢ぎ物を渡すか、脅しを無視するか」話し合いが行われ、無視することになった。

このままではいけないと、カラフたちは近隣の弱小国に使者を送り、「同盟を結び、巨大な国と戦う」ように協力を依頼した。交渉はうまくいき、カラフたちは協力を得て、戦いの準備を始めた。

戦いが始まる。裏で、同盟を結んでいた国が、「自分の国に貢ぎ物を要求しないなら、カラフの国を見捨てる」という密約をした。同盟国の裏切りにより、カラフは苦境に立たされ、敗北。

カラフ父のいる王宮に戻ると、さらに悪い知らせが。「巨大な国は、全滅を狙い、首都まで大軍で攻めてくるつもりだ」ということがわかった。宮中の高価な物をかかえて、カラフ父、カラフ、王族たち、宮廷の高官たち、有能な兵士たちは、一緒に逃げることになった。

カラフ親子、放浪の旅に出る

「どこかの国に保護を求める」つもりで、大集団で移動していた。山中で何度も盗賊に襲われ、一緒に逃げていた者たちは死に、宝物はすべて奪われた。生き残ったのは、カラフ父、カラフ母、カラフの3人だけ。

途中の町で3人が休んでいると、老人から声をかけられ「衣類と食事と寝る場所の提供」を申し出てくれた。さらに、「三頭の馬、食料、金の入った財布」を与えてくれ、次の土地へ行く準備をしてくれた。

別の領地にたどり着く。もらった金がつきて、すぐに困窮した。カラフは、物乞いをしたり、仕事を探すが見つからない。考えても仕方がないので、カラフが野原で眠り目覚めると、目の前に宝石をつけた美しい鷹がいた。逃げ出した王の鷹だった。王に喜ばれ、3つの願いを聞こうと言われた。

・両親をの余生の面倒を見て欲しい(王のそばの住まいで、侍従や召使いも用意される)
・立派な馬と鞍
・豪華な服、立派な剣、金の入った財布

カラフは「中国に行ってみたい。そこで、王から好意を得る予感がする」と言って、両親を残し、ひとりで中国を目指す。

カラフ、中国にたどり着く

北京に到着。カラフが家の門をたたき泊めてもらえるか交渉すると、老女に気に入られて歓待される。カラフは「中国の王に仕え、軍の隊長になるつもりだ。」と話し、国の詳細な話しを聞く。老女には王女の侍女をしている娘がおり、中国の王女の話も聞く。

老女

中国の王女様は、美しく聡明な女性。だが、冷酷な面がある。結婚を拒否するあまり、条件をだした。

「私の謎を解き、答えられたら私の夫となれる。謎が解けなければ、打ち首」「高名な学者でも解けない謎を出すので、絶対に結婚しない。」

誰も無謀な挑戦はしないだろうと思っていたら、次々と異国の王子が来てしまった。打ち首になった王子は数知れず。今では王が、異国の王子たちに挑戦をやめるように説得している。

その日も、謎解きに失敗した王子の死刑執行の日だった。カラフは処刑を見に行く。王子の死を見届ける。野次馬の中に、涙を流す男を見つけて声をかける。彼は、死刑になった王子の教師だった。

亡くなった王子の教師

かつて、王子の国に、有名な画家がやってきた。彼は各地で描いた王女たちの絵を持っていた。

画家の画力を持ってしても、王女の美しさを表現できなかった絵として、中国の王女の絵を見せる。王子が見惚れて、絵を買い取り、中国まで来た。そして謎解きに失敗した。

「これが王子の死の原因だ!」と中国の王女の絵を地面に捨て、教師は立ち去る。カラフは拾った絵を見てから、求婚の決心をする。老女は、その決断を聞いて悲しむ。

カラフは王宮に向かう。王がカラフと接見した。王は挑戦をやめるように言い、今日は帰り、明日また決断を考え直しなさいと言う。カラフは老女の家に帰る。

翌日、カラフは王宮を訪れる。王や学者が説得するが、決断は変わらず。王は、一日かけて儀式や祈りを捧げて、謎解きの準備をした。

中国の王女、現れる。謎解き

王宮の中、王と王女が現れる。

中国の王女

どうして王宮で自由で静かに生活をさせてくれないのだろうか。求婚なんてやめてほしい・・・

カラフ

謎を出してください。解いてみせます。

謎1 すべての国、すべての人々の友であるのに、自分の仲間を苦しめるものは?
謎2 子供を産んだ後、大人になると食べる母親は?
謎3 葉の一方が白く、裏が黒い木は?

答え 1太陽 2海 3一年

カラフが3つの謎に答える。

中国の王女

まだ、謎はあります。明日まで待ってください

王は、「それはだめだ。死刑は終わりだ。謎を解いたのだから、結婚するべきだ」と言い、謎解きは終わりになる。姫は、絶望。

カラフ

姫が絶望しているようなので、権利を放棄してもよいです。ただ、条件があります。姫が私の出す謎を解いてください。

姫が謎を解ければ、あなたを自由にし、解けなければ、私と結婚する。

中国の王女は、条件を受け入れる。

カラフ

物乞いまでしてきたが、今は喜びや名誉に包まれている男の名前は?

中国の王女

明日、あなたの名前を言います。

その場は解散になる。姫は、自室に戻り絶望している。中国の王女は「カラフに少し好感を持ったが、やはり結婚したくない、彼の名前を知ることはできない」と泣いている。

中国の王とカラフは、謎解きの成功を喜び合う。談笑して過ごし、明日を待っている。

中国の王女つきの侍女が、カラフの部屋に

カラフは、自室に戻る。部屋の中に、なぜか若い女性が待っていた。

侍女

私は、中国の王から貢ぎ物を要求された王の娘です。我が父は、貢ぎ物を拒否し、戦いを選びました。結果、中国が勝ち、父は亡くなり、最期の命令として、妻子を奴隷にしないために殺害を指示しました。私はその生き残りで、王宮に連れられ姫の侍女になったのです。

なぜここにいるのか、というと、姫の恐ろしい計画を聞いたから。姫が手下のものを使い、あなたの殺害を狙っています。私が、あなたを逃がします。一緒に逃亡しましょう。

カラフは、答える。

カラフ

感謝するが、このまま去ると、中国の王に対して無礼な振る舞いになるので、断ります。

それに、彼女を愛しているのです。彼女が私の死を望むのなら、仕方がないでしょう。

彼女は諦めて、部屋を出て行った。

朝、中国の王女が、カラフの名前を答える

カラフは、だれかに殺害されるかも、と警戒するが、何も起こらない。

広間に多くの者が集まる中、カラフが「私の名前は?」と姫に問いかけ、姫が答える。

中国の王女

あなたの名前は、カラフ。

カラフは絶望して、崩れ落ちる。

中国の王女

負けを認めなさい。私はあなたを拒絶できるし、あなたは私を失う悲しみを味わえばいい。

その上で、私はあなたと結婚することを決めました。

皆の祝福。名前を聞き出した方法は、「侍女のひとりが、夜に彼の部屋を訪れ、カラフから名前を聞き出したから」と、中国の王女は言う。カラフは不審に思い、侍女を見る。

侍女

私は、彼と一緒に逃亡するつもりで、部屋を訪れました。奴隷の身分を逃げ出したかったし、素敵な男性だったからです。「姫が暗殺を考えている」とまで言って、説得しました。ですが、断られました。そのときに、彼が自分の名前をもらすのを聞きました。

私が姫に彼の名前を教えた理由は、教えれば姫は彼の名前を言い、ふたりは縁がなくなる、と思ったのです。ですが姫が結婚を選び、無駄になりました。私は死を選びます。

侍女は、短剣を胸に刺した。

中国の王女

どうして、昨夜、お前の心の内を教えてくれなかったのか。私とカラフが結婚するなら、死んでしまうと言って欲しかった。

お前を救うために、手をつくすことを考えたかもしれない。

侍女は、「奴隷の身分がつらかったし、愛も得られなかった。私の運命を嘆かないでください。」と死ぬ。中国の王は、侍女のために立派な葬儀を行った。

結婚式。その後、中国軍の協力で、カラフは国を取り戻した

結婚式。カラフの両親も呼び寄せた。以前カラフが見つけた鷹の王も来た。

自国を取り戻すため、カラフは、中国や鷹の王の協力を得る。中国軍の協力により、かつてカラフの国に貢ぎ物を要求した国を滅ぼし、カラフは、その国の王に治まった。自国を取り戻し、さらに、同盟関係を破った国にも報復に行き、滅ぼした。

カラフとトゥーランドットは、二人の息子をもうけ、ひとりは、中国の王子に、ひとりは、カラフの跡継ぎとなった。

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