椿姫|あらすじと簡単解説・ヴェルディ

「椿姫」は、1850年頃のパリで開かれていた豪華な夜会、純愛から破局、悲劇的な結末と、観客を惹きつける要素の多いドラマチックなオペラです。

当時は同時代の高級娼婦が主役というこれまでにないオペラであったため初演は失敗しました。

椿姫を作曲したヴェルディは、気に入っているオペラとして次のように上げています。

  • (オペラ作曲家の)プロの目線では「リゴレット」
  • (観客として)一般人の目線では「椿姫」

このように椿姫は、一般人の目線で、見やすく楽しみやすいオペラです。現在、人気があり上演回数も多いので、納得ですね。

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オペラ・歌劇「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」の簡単なあらすじ

結核を患い死を意識している高級娼婦のヴィオレッタと、南仏から来たブルジョワの青年アルフレードが恋に落ちた。

ヴィオレッタは高級娼婦をやめ、アルフレードとパリ近郊でふたりは同棲している。そこに訪れたアルフレードの父ジェルモンの説得で、ヴィオレッタは別れを決意する。ヴィオレッタが別れの理由を告げずに去ったので、アルフレードは、自分との愛よりも金を選んだ、と誤解。社交場で、彼女を侮辱する。

数ヶ月後、ヴィオレッタは病が悪化。アルフレードとジェルモンが駆けつけるが、ヴィオレッタは死ぬ

相関図と登場人物(ヴィオレッタ・アルフレード・ジェルモン)

椿姫の相関図
オペラ「椿姫」の相関図・タップで拡大表示
ヴィオレッタ高級娼婦ソプラノ
アルフレード田舎(南仏)出身の青年テノール
ジェルモンアルフレードの父親バリトン
フローラヴィオレッタの友人メゾソプラノ
アンニーナヴィオレッタの女中ソプラノ
ドゥフォール男爵ヴィオレッタのパトロンバリトン
ガストーネ子爵アルフレードの友人テノール

作曲ヴェルディ・初演・原作・台本・上演時間

La traviata ラ・トラヴィアータ 椿姫

  • 作曲 ヴェルディ
  • 初演 1853年3月6日 ヴェネツィア フェニーチェ歌劇場
  • 原作 アレクサンドル・デュマ・フィス「椿姫」
  • 台本 フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ イタリア語
  • 上演時間 2時間(第1幕30分 第2幕60分 第3幕30分)

【解説】「椿姫」に関わる時代背景

当時貧しい女性の職業は、下働き、グリゼット(お針子だが、娼婦に近い)、娼婦

グリゼットや娼婦の中から美しい女性が、貴族の男性から社交マナーを教えられて、高級娼婦になることがありました。貴族が擬似恋愛をするのに、美貌や体だけでなくある程度の教養があったほうが、彼らが楽しめたからです。

原作「椿姫」のモデル、マリー・デュプレシもグリゼットからステップアップして、高級娼婦になりました。

庶民を相手にする「娼婦」 → 貴族を相手にする「高級娼婦」

「椿姫」のモデル「マリー・デュプレシ」の生涯

ヴィオレッタの台詞、3つの「不思議だわ」

第1幕 ヴィオレッタが、アルフレードに恋をした、と気がついたとき

第2幕 アルフレードの外出に気がついて、「なぜ出かけたのか?」と思ったとき

第3幕 死の床で、痛みがなくなったとき

È strano! 「不思議だわ」と、それぞれの幕ごとに出てきます。

椿姫のキーポイントとなる場面で、出てくる言葉です。読み方は、エ・ストラーノ。

椿姫に出てくる地域の地図

椿姫 地図

パリ

パリは、当時も今も大都市。椿姫の舞台となる場所です。

南仏

南仏、プロヴァンス。アルフレードとジェルモンの出身地。地中海に面した、風光明媚な土地。観光地として有名な、コート・ダジュールも含まれます。

ブージヴァル

ブージヴァルは、ヴィオレッタとアルフレードがパリから離れて、しばし暮らす町です。リから西に15キロほど、セーヌ川沿いの町です。

椿姫の当時(制作年1853年)、知る人ぞ知る最先端の保養地でした。その後、さらに人気を集め、ルノアールの「ブージヴァルのダンス」(1883年)が描かれたりしています。

「椿姫」第1幕の簡単な対訳 ヴィオレッタとアルフレードの出会い

「椿姫」前奏曲

オペラの悲劇的な結末を予想させる悲しい音楽。

ヴィオレッタの屋敷、夜会

1850年頃のパリ。夜、華やかに着飾った人々と高級娼婦ヴィオレッタが談笑している。遅れてきたフローラ(ヴィオレッタの友人)と客人を迎え入れる。

客人ら
遅れて申し訳ない。フローラの夜会が楽しくて、あっという間に時間が過ぎていたのです。

ヴィオレッタ

フローラも友人たちも来てくれてありがとう。残りの夜を楽しみましょう。

フローラ(ヴィオレッタの友人)と公爵
あなたは楽しんでいて大丈夫なの?

ヴィオレッタ

喜びに身を委ねることが、私の病気を和らげる薬になるのよ。

人々をもてなすヴィオレッタに、アルフレードが紹介される。

ガストーネ(アルフレードの友人)
アルフレード・ジェルモンを紹介します。私の良き友人です。

ヴィオレッタ

子爵、ご紹介ありがとうございます。

ヴィオレッタが手を出し、アルフレードがキスする。

ヴィオレッタ

食事の用意はできたかしら?さあ、皆さん楽しみましょう。

ガストーネ(アルフレードの友人)
アルフレードはいつもあなたを考えています。あなたが病気の時には、ここに来て容態を尋ねていました。

ヴィオレッタ

やめてください。私は彼にとって何でもないですよ。

ガストーネ(アルフレードの友人)
でも、嘘ではないです。

ヴィオレッタ

(アルフレードに)なぜ?私には理解できないわ。

アルフレード

本当です。

ヴィオレッタ

(アルフレードに)ありがとうございました。男爵は、私が病気でも気にかけてくださいませんでしたね。

男爵(パトロン)
私は一年しかあなたを知らないからな。

ヴィオレッタ

彼は数分しか私を知らないわ。

男爵(パトロン)
(フローラに小声で)あの若者は気に入らないな。

ガストーネ(アルフレードの友人)
男爵、この楽しい時に詩を読みませんか?(男爵断る)では、アルフレード、君はどう?

アルフレードは一度は断るが、ヴィオレッタに促されて詩を読む。

アルフレード

喜びのグラスを飲みましょう。愛を呼び起こす甘いときめきを飲み干しましょう。僕の心に(ヴィオレッタを見ながら)ある瞳が万能の力をふるうから。

「乾杯の歌」Libiamo, ne’ lieti calici

ヴィオレッタ

皆様と楽しく時を過ごしましょう。この世で楽しませてくれないものは、くだらないわ。愛の喜びは簡単に消えてしまうから、楽しみましょう。

アルフレード

まだ愛し合っていなからですよ。

ヴィオレッタ

愛に無縁な者に言っても無駄よ。

アルフレード

これが僕の運命ですから。

歌詞と対訳

「乾杯の歌」Libiamo ne’ lieti calici|椿姫

「乾杯の歌」の中で歌を通して、ふたりの距離は縮まります。

隣の部屋からワルツの音楽が聞こえてくる。

ヴィオレッタ

皆さん、踊りはいかがですか?

皆で部屋を移動しようとするとヴィオレッタが倒れる。立ち上がろうとして、再び倒れる。

ヴィオレッタ

少し体調が。あちらにどうぞ。少ししたら行きます。

客人らが移動していき、アルフレードは残る。

ヴィオレッタ

(鏡を見て)なんという顔色の悪さ。(アルフレードに気が付き)ここにいらしたのね。

アルフレード

気分はよくなりましたか?このような生活では、あなたの体が心配です。

ヴィオレッタ

どのくらい前から私を愛していたの?

アルフレード

1年前から、あなたを愛していました。

ある日、あなたは僕の前に現れました。その日から未知の愛に生きているのです。その愛は、全宇宙の鼓動であり、神秘的で気高く、心に苦悩と喜びをもたらしします。

「二重唱・思い出の日から」Un dì, felice, eterea

ヴィオレッタ

それが本当なら私から逃げてください。私が提供するのは、友情だけです。愛することを知らないですし、そのような英雄的な愛に苦しむことはありません。

あなたは別の誰かを探す必要があります。私を忘れるのは難しくないでしょう。

ガストーネ(アルフレードの友人)が様子を伺いに来て、去る。

ヴィオレッタ

愛の話は十分ですね?

アルフレード

あなたに従います。失礼。(立ち去ろうとする)

ヴィオレッタ

(胸から花を取る)この花を。

アルフレード

なぜ?

ヴィオレッタ

返してください。この花がしおれる頃に。

アルフレード

(花を受け取り)明日にでも!

再会の約束をする。夜会がお開きになった後、ひとりになったヴィオレッタは、アルフレードを思い出す。

ヴィオレッタ

不思議だわ。È strano!

彼の言葉が忘れられない。真剣な愛は私には不幸なことでしょうか?悩める魂よ、私はどうしたらいいの?

きっと彼だったのね。孤独な私が思い描いていた人は。

「きっとあの方だったのね」Ah, fors’è lui che l’anima

アルフレード

(遠くから、アルフレードの声)その愛は、全宇宙の鼓動であり、神秘的で気高く、心に苦悩と喜びをもたらしします。

ヴィオレッタ

愚かだわ。私はパリで見捨てられた、一人の女。楽しんで喜びの中で消えていくのよ。

喜びから喜びへ飛んでいく。そうやって生きてきたんだもの。(アルフレードを思い出してしまう。)

「花から花へ」Sempre libera degg’io

歌詞と対訳

「ああ、そはかの人か~花から花へ」È strano・・・Sempre libera|椿姫

ヴィオレッタは、アルフレードを思い出し歌います。

「椿姫」第2幕の簡単な対訳 父親の反対による別れ

第1場 ジェルモン、ヴィオレッタに「別れるように」と説得

出会いから3ヶ月後、パリ郊外の別荘

別荘の居間で、アルフレードはひとりでヴィオレッタとの田舎生活を喜んでいる。

アルフレード

あれから3カ月。ヴィオレッタは僕のために豪華な暮らしを捨ててくれた。幸せそうにここで暮らしている。彼女の側にいると、僕は生まれ変わったのようだ。

僕の燃える心の若々しい熱意を、彼女は愛の笑顔で穏やかに和らげてくれた。彼女が「あなたに忠実に生きたい」と言った日から、この世について何も知らず、僕はほとんど天国にいるようだ。

「燃える心を」De’ miei bollenti spiriti

外出着を着た女中が部屋に入る。

アルフレード

どこから戻ってきた?

女中(アンニーナ)
パリから戻りました。…奥様に頼まれて。

アルフレード

なぜ?

女中(アンニーナ)
馬や馬車、ヴィオレッタ様が持っているものを売りに。ここの暮らしはお金がかかるのです。

アルフレード

僕はパリに行く。彼女には黙っていてくれ。

ああ、僕の後悔!なんて不名誉。そのような誤りの中で生きていたのか?壊れてしまいそうな愚かな夢に、真実が現れたのだ。あなたには私の保護があります。僕はこの恥を洗い流す。

「ああ、僕の後悔」O mio rimorso!

アルフレードは、パリにお金の工面に出かける。入れ違いに、ヴィオレッタが帰宅。

ヴィオレッタ

アルフレードはどこに?

女中(アンニーナ)
パリにお出かけになりました。夕暮れまでに帰るそうです。

ヴィオレッタ

不思議だわ。È strano!

男の使用人がヴィオレッタに手紙を届ける。

ヴィオレッタ

フローラ(ヴィオレッタの友人)からの手紙だわ。彼女は私の隠れ家を見つけたのね。今晩の夜会の招待状。私を待っても無駄なのに…

アルフレードの父、ジェルモンが訪問。

ジェルモン

私はアルフレードの父親だ。あなたに魅了され、破滅に向かう男のね。

ヴィオレッタ

(憤慨して)女性に対してそのようなことを。ここは私の家です。失礼します。私のためというより、あなたのために。

ジェルモン

でも、息子はあなたに財産を贈ろうとしている。

ヴィオレッタ

あなたは勘違いしています。今までそのようなことはありませんでしたし、もしあれば、私は拒否します。

ジェルモン

(部屋を見渡して)贅沢なようですが。

ヴィオレッタ

秘密にしておいたのですが、あなたにはお見せします。

ヴィオレッタはジェルモンに書類を渡す。

ジェルモン

なんという。あなたはすべての所有物を手放すつもりですか?過去はなぜあなたを非難するのでしょうか?

ヴィオレッタ

過去は存在しません。今はアルフレードを愛しています。私の悔い改めにより、神は過去を消してくれたのです。

ジェルモン

なんと高貴な心掛け。その心掛けに、私はあなたの犠牲を求めたい。

ヴィオレッタ

何も言わないでください。恐ろしいことに違いないでしょう。こうなることは予想していました。

ジェルモン

アルフレードの父として、二人の子供の運命のために頼むのです。

神様は天使のような娘を私に与えてくれました。アルフレードが家族のもとへ戻るのを拒否するなら、娘が花嫁になろうとしている青年が絆を拒むのです。愛のバラをイバラに変えないでくれ。

「二重唱・神様は天使のような娘を」Pura siccome un angelo

ヴィオレッタ

しばらくの間、アルフレードから離れます。

ジェルモン

私の願いは違います。

ヴィオレッタ

彼を永遠に手放せと?絶対に嫌です。あなたはどれほど私が彼を愛しているのか、知らないのです。友達や親戚のいない私に、アルフレードは僕にその役目を見出してくれと、誓ってくれました。

私は病気に侵されていて、最後の時が近いのです。それでも別れろと。死んだほうがましです。

ジェルモン

犠牲は大きいでしょう。でも聞いてください。あなたは美して若いのです。

気まぐれですよ、男というのは。男があなたを崇拝しても、時とともに薄れていくでしょう。どうなるでしょうか?あなたのために、慰めはありません。なぜなら天はこのような結びつきを祝福しないから。

私の家族のために、慰めの天使になってください。

泣く泣くヴィオレッタは、アルフレードと別れることを決意する。

ヴィオレッタ

一度、道を踏み外した女は、神が許しても、人は許してくれないのね。清らかなお嬢さんにお伝えください。一人の女の犠牲があったことを。

「二重唱・お嬢さんにお伝えください」Dite alla giovine

ジェルモン

泣けばいい、哀れな人よ。私にはわかっている、あなたに大きな犠牲を求めていることを。あなたの悲しみを私の魂は感じています。

ヴィオレッタ

娘として抱きしめてください。

すぐにあなたのもとにアルフレードは戻るでしょう。とても傷ついて。慰めてください。

ジェルモン

私に何かできることは?

ヴィオレッタ

私は死にます。私との思い出を彼に呪わせないでください。私の苦しみを伝えてほしいのです。

ジェルモン

生きてください。幸せになるのです。この涙への贈り物が天から届きます。

ヴィオレッタの決断に納得して、ジェルモンは去る。

椿姫は、小説(小デュマ)→戯曲(小デュマ)→オペラ(ヴェルティ)とオペラ化にあたって、内容がある程度変更されています。

ですが、ヴィオレッタとジェルモンのやりとりの場面は、小デュマの戯曲の台本をほとんどそのまま使用しています。オペラ化にあたり削られなかった、この場面は、椿姫の中でも重要な場面です。

ヴィオレッタは、フローラへの「夜会出席の手紙」とアルフレードへの「別れの手紙」を書く。アルフレードが戻る。

アルフレード

何をしているの?

「何をしている?」Che fai?

ヴィオレッタ

(手紙を隠し)何も。

アルフレード

手紙だね。誰に書いていたの?

ヴィオレッタ

あなたに。

アルフレード

詮索してごめん。心配なんだ。父が来ている。

ヴィオレッタ

お父様に会ったの?

アルフレード

いいや、厳しい手紙を僕に残していた。でも、会えば気に入ってくれるよ。

ヴィオレッタ

(動揺して)驚きたくないの。私は席を外して、あなたがお父様を落ち着かせて。(こらえきれずに泣いて)あなたのお父様の足元にひざまずくわ。私たちは幸せになれる。だって、あなたが愛してくれているから。

アルフレード

どれほど僕を…なぜ泣くのかい?

ヴィオレッタ

見て、あなたに笑いかけるわ。(泣くのをこらえて)私はいつもあの花の中で、あなたのそばにいます。アルフレッド、私を愛して、私があなたを愛しているように。 さようなら。

Amami, Alfredo

ヴィオレッタが出ていく。

アルフレード

彼女は僕の愛のために生きている!(時計を見て)もう遅い。父は来ないだろう。

男の使用人
ヴィオレッタ様がお出かけです。馬車はパリに向かっています。

アルフレード

知っている。(所持品を売ろうと思ったのだろう。でも女中が彼女を止めてくれる。)

使いの者
馬車の婦人から手紙を預かりました。

アルフレードは、ヴィオレッタからの手紙を受け取る。

アルフレード

なぜか震える。勇気を出せ。(手紙を読む。)「アルフレード、この手紙が届くころには」ああ!(父に気が付いて)父さん。

そこに、ジェルモンが訪問。

ジェルモン

私の息子。どれほど苦しんでいるのか。涙を拭いて。さあ、自慢で誇りある息子に戻れ。

プロヴァンスの海と陸を、誰がお前から奪ったのか?息子よ、故郷を思い出しなさい。

「プロヴァンスの海と陸」Di Provenza il mar

歌詞と対訳

「プロヴァンスの海と陸」Di Provenza il mar|椿姫

ジェルモンの親心。

アルフレード

放っておいてくれ。

ジェルモン

お前を見つけたのは無駄だった。いや、非難は忘れよう。一緒に来てくれ。お前を愛する人たちと再会するのだ。

アルフレードはヴィオレッタの友人フローラの夜会の招待状を見つける。

アルフレード

ヴィオレッタは夜会に参加しているのか?恨みを晴らしてやる。

パリに向かうアルフレード。それを追いかける、ジェルモン。

第2場 ヴィオレッタ、高級娼婦の世界に戻る

ヴィオレッタの友人、高級娼婦の夜会

華やかに盛り上がる。

フローラ(ヴィオレッタの友人)
今夜は、ヴィオレッタとアルフレードを招待しました。

侯爵(フローラのパトロン)
ふたりは別れたそうですよ。ヴィオレッタは男爵とここに来ます。

ヴィオレッタの主治医
昨日二人を見たときは、幸せそうでしたよ。

催し物が始まる。

ジプシー女たち
遠くから来た私たちはジプシーです。皆さんの手から未来を見ましょう。

「合唱」Noi siamo zingarelle

ガストーネ(アルフレードの友人)と闘牛士たち
私たちは、マドリードの闘牛士。パリには楽しむためにやってきた。武勇伝をお話ししよう。

「合唱」Di Madride noi siam mattadori

その場に集まった男たちが、賭け事を始める。アルフレードが現れる。

アルフレード

やあ、皆さん。

フローラ(ヴィオレッタの友人)
ヴィオレッタは?

アルフレード

知りません。

ヴィオレッタとパトロンが到着。

男爵(パトロン)
(ヴィオレッタに小声で)あの男が来ている。

ヴィオレッタ

そうですね。見ました。

男爵(パトロン)
(ヴィオレッタに小声で)あなたから話さないように。

人々に交じり、賭け事をしているアルフレード。

ガストーネ(アルフレードの友人)
また勝ったね。

アルフレード

恋に不運だから、賭けに運があるのさ。今夜は勝って、その金で田舎で幸せに暮らすよ。

フローラ(ヴィオレッタの友人)
ひとりで?

アルフレード

いいや、その田舎に私と一緒にいた人とね。だが、その人は私から逃げ出したんだ。

ヴィオレッタ

ああ!

ガストーネ(アルフレードの友人)
(アルフレードに)彼女に憐れみを持て。

男爵(パトロン)
(不愉快な怒りを込めて)君!

ヴィオレッタ

(男爵に)我慢してください。そうでなければ、私はあなたを置いていきます。

アルフレード

男爵。私をお呼びですか?

男爵(パトロン)
あなたはとても幸運だ。私も賭け事に誘われてみよう。

アルフレード

(皮肉っぽく)そうですか?僕は挑戦を受け入れます。

ヴィオレッタ

(どうなるんだろう。死にたくなってきたわ。)

アルフレードは一人勝ち。周囲が賭けを見守る中、夕食ができたためその場が解散になる。

誰もいなくなった会場にヴィオレッタが急いで戻り、続いてアルフレード。

ヴィオレッタ

ここで私と会うように頼んだけれど、彼は来てくれるかしら?話を聞いてくれるだろうか?彼は来る。私の声より憎しみのほうが大きいのだから。

アルフレード

僕を呼んだのか?何がしたいのか?

ヴィオレッタ

この場から離れてください。危険が漂っています。男爵が恐ろしいのです。

アルフレード

僕たちの間では、命がけの喧嘩ですからね。男爵が負ければ、あなたは恋人とパトロンを失うわけだ。そのことを恐れているのでしょう。

ヴィオレッタ

もし男爵が殺す側になったら、それが唯一の不幸です。私にとって致命的なくらい恐ろしいことなのです。

アルフレード

僕の死?それがどうした。立ち去ってもいい。だが、誓ってくれ。どこまでも僕についてきて欲しい。

ヴィオレッタ

・・・無理よ。神聖な約束(ジェルモンとの)があるのよ。

アルフレード

誰がそんなことを言わせるのか?・・・パトロンなのか。彼を愛してるのか?

ヴィオレッタ

(理由は言えないので)・・・そうよ。愛しているわ。

アルフレードは激怒し、人々を呼び寄せる。

アルフレード

彼女は、僕との愛のために全財産を失った。盲目で愚かで、惨めだった僕はすべてを受け入れてしまった。だが、時は来たのだ。汚名をふき取りたい。あなたがたを証人としてお呼びした。僕がその金を返したと。

Ogni suo aver tal femmina

ヴィオレッタに札束を投げつける。彼女は気絶。騒動の中、ジェルモンが会場に到着。

全員
恐ろしい。繊細な心を殺したのだ。気の毒な女性を侮辱するとは。ここから離れてくれ。あなたは私たちに恐怖を引き起こした。

追いかけてきたジェルモンは息子の姿を嘆く。

ジェルモン

彼女の美徳を知っている。だが、本当のことを言うことは出来ない。

アルフレード

恐ろしい。…僕は、なんてことをしてしまったんだ。彼女には、許してもらえないだろう。

ヴィオレッタ

(意識が戻り)アルフレード、あなたは私の気持ちを理解できないわね。すべては、愛のためなのよ。

「八重唱」Alfredo, Alfredo, di questo core

男爵(パトロン)
(アルフレードにそっと)この女性に対する侮辱は許さない。

全員
なんて苦しいんだろう。ここにいる誰もがあなたの痛みを感じている。涙を拭いてください。

舞台上で表現されないが、アルフレードと男爵は決闘。男爵は負傷し、アルフレードは外国に旅に出る。

「椿姫」第3幕の簡単な対訳 再会、ヴィオレッタの死

「椿姫」前奏曲

第1幕の前奏曲よりも、さらに悲壮感にあふれた音楽。

数ヶ月後、ヴィオレッタの寝室

病床に伏している。身近にいるのは、女中アンニーナ。

ヴィオレッタ

(目覚めて)部屋に光を入れてちょうだい。

女中(アンニーナ)
(窓を開けて通りを見る。)お医者様だわ。

ヴィオレッタ

真の友人だわ。起き上がるのを助けて。

ヴィオレッタがアンニーナに支えられて移動しているところに、医者が現れる。

医者(グランヴィル)
体調はいかがですか?

ヴィオレッタ

体は苦しいですが、魂は落ち着いています。昨日、敬虔な牧師が私を慰めてくれた。宗教は苦しい人の救済です。

医者(グランヴィル)
そう遠くないうちに回復しますよ。

ヴィオレッタ

憐れみの嘘をお医者様は言うのですね。

医者(グランヴィル)
(手を握って)またお会いしましょう。

女中が医者を部屋の外に見送る。

女中(アンニーナ)
(医者に小声で)いかがですか?

医者(グランヴィル)
(小声で)数時間以上は無理でしょう。

医者が去り、ヴィオレッタと女中のアンニーナ。

ヴィオレッタ

今日はお祝いの日なの?

女中(アンニーナ)
パリは盛り上がり、謝肉祭です。

ヴィオレッタ

この祝いの中で、どれほど多くの人が苦しんでいるのかしら?キャビネットのお金を見てちょうだい。

女中(アンニーナ)
20ルイです。

ヴィオレッタ

10ルイを貧しい人に与えてちょうだい。あと、私宛の手紙が届いていないか見てきて。

女中が出ていく。ヴィオレッタは、ジェルモンから来た手紙を胸元から取り出して読む。

ヴィオレッタ

ジェルモンからの手紙「あなたは約束を守りました。決闘が起こり、男爵は負傷しましたが、回復しています。アルフレードは見知らぬ土地にいます。私はあなたの犠牲を彼に伝えました。彼は許しを求めて、あなたの元に戻ります。私も参ります。お大事に。あなたにふさわしいより良い未来のために。ジョルジュ・ジェルモン」

もう遅いわ。

待っても待っても、私の下に来てくれない。お医者様は「希望を持て」と言ってくれる。このような病気では、すべての希望は死んでしまう。

さようなら、過去の幸福な夢よ。私の顔のバラ色は、すでに青ざめている。今でもアルフレードの愛が恋しい。

道を間違った女の願いを聞いてください。神よ、受け入れてください。私の墓には、花も涙もないでしょう。すべてが終わった。

「さようなら、過ぎ去りし日よ」Addio, del passato

歌詞と対訳

「さようなら、過ぎ去りし日よ」Addio, del passato|椿姫

ジェルモンの手紙を読みながら、過去を思い出します。

部屋の外から、謝肉祭を祝う人々の合唱が聞こえてくる。

女中(アンニーナ)
(迷って)奥様。体調はよいですか?

ヴィオレッタ

ええ、なぜ?

女中(アンニーナ)
穏やかに過ごすことを約束してくれますか?私はあなたが突然の喜びにあうのを防ぎたかったのです。

ヴィオレッタ

喜び!そう言ったのね。アルフレード。彼が来てくれた!

女中がアルフレードを出迎えに行く。アルフレードが部屋に入り、抱き合って喜ぶ。

ヴィオレッタ

最愛のアルフレード。

アルフレード

僕のヴィオレッタ。僕が間違っていた。すべて知っている。僕があなたを愛しているかどうか、この鼓動でわかってほしい。僕と父を許してほしい。

ヴィオレッタ

許してほしいですって? 間違っていたのは私の方よ。でも、愛だけが私をそうさせたのです。

アルフレード

愛する人よ、パリを離れよう。僕たちはともに人生を過ごそう。あなたの健康は再び戻るだろう。あなたは僕の息吹と光になる。すべての未来は微笑むだろう。

「二重唱・パリを離れて」Parigi, o cara

ヴィオレッタ

愛する人よ、パリを離れよう。私たちはともに人生を過ごそう。私の健康は再び戻るでしょう。あなたは私の息吹と光になる。すべての未来は微笑むでしょう。

歌詞と対訳

「パリを離れて」Parigi, o cara|椿姫

アルフレードとヴィオレッタの美しい二重唱。

ヴィオレッタが倒れる。

アルフレード

ヴィオレッタ。

ヴィオレッタ

病気のせいよ。大丈夫だから。(無理をして)ほら、笑っているでしょう?

アルフレード

なんて残酷な運命なんだ。

ヴィオレッタ

アンニーナ。私に服を用意して。

アルフレード

今?ちょっと待って。

ヴィオレッタ

外に出たいの。(アンニーナが服を渡すが、体が弱って着ることができない。)神よ、私にはできない。(倒れる。)

アルフレード

(アンニーナに)医者を呼んでくれ。

ヴィオレッタ

(アンニーナへ)アルフレードが私の愛に戻ったと伝えて。私は生きたいのだと。

(アルフレードに)あなたが戻って私を救えないなら、地球上の誰も私を救えない。ああ、若くして死ぬとは。私たちの愛には、残酷な結末が用意されていたのね。

アルフレード

希望に心を閉じないでくれ。落ち着いて。

ジェルモンと医者、女中が駆けつける。

ジェルモン

ヴィオレッタ。私は約束を果たします。娘のようにあなたを抱きしめよう。

ヴィオレッタ

ああ、なんとあなたは遅れて来たことか。でも、あなたに感謝します。お医者様、見えますか?私は愛する人に看取られるのです。

ジェルモン

そんなことを。(ヴィオレッタを見て)本当のようだ。

アルフレード

父さん、彼女を見れますか?

ジェルモン

これ以上私を責めないでくれ。あまりの後悔に魂がむしばまれる。私の過ちが、今になって見えてきたのだ。

ヴィオレッタ

愛するアルフレード。これは私の絵姿です。私との思い出の日々を思い出せるように。清らかな乙女があなたを愛したら、彼女を花嫁にしてください。この絵姿を彼女に渡すのです。天国からあなたたちの幸せを祈る者からの贈り物だと伝えてください。

アルフレード

いいえ、あなたは死にません。僕にそんなことを言わないで。生きるんだ。愛しい人よ。

ヴィオレッタ

(立ち上がって)不思議だわ。È strano!

痛みがなくなった。いつもとは違う強さが、私に蘇る。私、生きられるのね。嬉しいわ!

ヴィオレッタがソファーに倒れ、息を引き取る。

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