簡単にわかる「パルジファル」あらすじと相関図|ワーグナー

パルジファルは、ワーグナーによる最後の作品です。バイロイト祝祭劇場のために書かれた作品だったため、長い間バイロイト以外での上演が禁じられていました。

目次

楽劇「パルジファル」の簡単なあらすじ

オペラ前の出来事

信心深いティトゥレル王は、天使から聖遺物を預かった。キリストが使った聖杯と、キリストのわき腹を刺した聖槍だ。聖杯と聖槍を守るために、信心深い者たちが神に集められて騎士団ができた。クリングゾルは騎士団に入ろうとしたが、拒否された。逆恨みしたクリングゾルは魔法の城を作り、騎士団に入ろうとする者たちを女に誘惑させて堕落させていった。

ティトゥレル王の息子、アンフォルタスは、クリングゾルを倒すために聖槍を持って魔法の城に向かった。彼はクンドリに誘惑され、聖槍を手から落としてしまう。クリングゾルが聖槍を奪い、アンフォルタスのわき腹を刺す。その傷は閉じることがなく、痛み続けた。傷の痛みに苦しむアンフォルタスが祈ると「慈しみをもって知る純粋な愚か者を待て。私が選んだ者だ。」と神託を受けた。

オペラ

聖杯を守る老騎士、グルネマンツは、かつてアンフォルタスが刺された現場にいた。彼はアンフォルタスの癒えない傷を心配して、純粋なる愚か者の出現を願っている。騎士団の森に、白鳥を弓矢で射る「愚かな若者」が現れた。彼は自分の名前もわからない。グルネマンツは、彼を「純粋な愚か者」だと考えた。だが、若者は何もできず怯えるばかりで役に立たなかった。グルネマンツは若者を「ただの愚か者」だと考えて追い払った。

魔法の城。クリングゾルは、愚かな若者から「純粋さ」を奪い取ろうと、クンドリに誘惑させる。クンドリはかつてキリストをあざ笑ったために呪われており、クリングゾルに支配されている。また彼女は自分が救われるために、騎士団に影で仕えている。クンドリはクリングゾルの命令で、愚かな若者を誘惑する。クンドリは若者を「パルジファル」と呼ぶ。パルジファルはクンドリの口づけによって覚醒する。クリングゾルは若者を倒そうと、聖槍を投げつける。若者の頭上で槍が止まり、聖槍を手に入れる。

聖杯の領域で、グルネマンツ、クンドリ、パルジファルは再会を果たす。クンドリは正気を取り戻し、パルジファルは聖者として覚醒している。3人は聖杯のある騎士団の城へ向かう。アンフォルタスは傷の痛みのあまり、死を願っている。パルジファルは聖槍を傷口に当て、傷を癒す。パルジファルが聖杯と聖槍を守る「新しい王」となる。

「パルジファル」の相関図

パルジファルの相関図
オペラ「パルジファル」の相関図

「パルジファル」の登場人物

パルジファル若者テノール
グルネマンツ老騎士バス
クンドリ呪われた女ソプラノ
アンフォルタス聖杯を守る王、傷に苦しむバリトン
クリングゾル魔法使いバリトン
ティトゥレルアンフォルタスの父、先代の王バス
聖杯守護の騎士2人
小姓4人
花の乙女たち6人

「パルジファル」の基本情報

  • 題名 パルジファル Bühnenweihfestspiel “Parsifal”
  • 作曲 ワーグナー
  • 初演 1882年7月26日 バイロイト祝祭劇場
  • 原作 ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ「パルツィヴァール」
  • 台本 ワーグナー
  • 言語 ドイツ語
  • 上演時間 4時間25分(第1幕110分 第2幕75分 第3幕80分)

「パルジファル」第1幕

第1場

前奏曲

中世。スペインのモンサルヴァートの森。舞台の中央は空き地、左は聖杯城に続く道、舞台背景には、中央に森の奥に泉がある。老騎士グルネマンツと小姓二人が木の下で眠っている。聖杯城から、朝を知らせる厳かなトロンボーンの音が聞こえてくる。

グルネマンツ

森の番人が、眠りの番人までするのか。せめて朝は起きなさい。さあ、水浴び場の準備をしよう。そこで王を待つ時間だ。

城から二人の騎士がやってくる。

グルネマンツ

アンフォルタス王の今日の様子はいかがですか?水浴びが早まったのですね。ガーウィンが手に入れた薬草のおかげで、体が楽になったのでしょうか?

騎士
全てをご存じのあなたがそのようなことを言うのですか?王は強い痛みで眠れずに、水浴びの準備を私たちに命じました。

馬に乗ってクンドリが、危なっかしい様子でやってくる。彼女はグルネマンツに急いで駆けつけると、小さな水晶の器を突きつける。

クンドリ

受け取れ、この香油を。

グルネマンツ

どこから持ってきたんだ?

クンドリ

お前が考えるよりもっと遠くから。このアラビアの香油が効かなければ、王が救われることはない。疲れた。

クンドリは地面に身を投げる。アンフォルタスが横たわる輿を担いで、小姓や騎士たちがやってくる。

グルネマンツ

男盛りで最も勇敢な一族の主が、病のしもべとなっている。慎重に!王がうめいている。

小姓たちが立ち止まり、輿を下ろす。

アンフォルタス

ありがとう。少し休もう。激しい苦痛の夜が去り、森の朝が輝いている。ガーヴァンよ。

騎士
ガーヴァンは留まっておりません。彼は薬草を求めて、新たな探索に乗り出しました。

アンフォルタス

私の許可なくか。彼がクリングゾルの罠に掛かったら大変だ。私は私に定められた者を待とう。「慈しみをもって知る」であったか?

グルネマンツ

あなたは私たちにそうおっしゃいました。

アンフォルタス

「純粋な愚か者」だ。私はその者に見覚えがある。もし、彼を死と呼ぶのなら。

グルネマンツは、クンドリの小瓶を渡す。

グルネマンツ

その前に、これをお試しください。

アンフォルタス

それを持ってきたのは誰だ?

グルネマンツ

クンドリ、来い!

クンドリは拒否して、地面に伏している。

アンフォルタス

お前か、クンドリ?もう一度礼を言わなければならない。香油を試してみよう。それは、お前の忠誠への感謝からだ。

クンドリ

感謝なんていらない。ハハハ!行け!水浴び場へ。

アンフォルタスが出発の合図を出す。行列は奥の湖に向かう。小姓たちが寝転がっているクンドリを邪険に扱う。

小姓
獣みたいに寝転ぶな。

グルネマンツ

やめなさい。彼女がお前に危害を加えたことがあったか?皆が途方に暮れている時、最果てで戦う兄弟たちに知らせを届けたのは誰か?

小姓
彼女は異教徒で、魔女です。

グルネマンツ

彼女は呪われた女なのかもしれない。彼女は過去の罪を償おうとしている。彼女が悔い改めるのなら、我が騎士団の救いになるのだ。

小姓
ですが、我々の苦悩の原因は、彼女なのではないですか?

グルネマンツ

そうだ。彼女がいなくなると、不幸が訪れる。私は昔から彼女を知っている。だが、ティトゥレル王は彼女をもっと昔から知っている。王が城を建てた時、彼女はこの森で死んだように眠っていたそうだ。

おい、お前、答えよ。我らの主が槍をなくした時、お前はどこをさまよっていたのか?なぜ、あの時我らを助けなかったのか?

クンドリ

私は一切助けない。

小姓
彼女が忠実で勇敢なら、彼女に失われた槍を探させよう。

グルネマンツ

それは、誰にでも許されることではないのだ。

勇敢なアンフォルタス王が、槍を武器に魔法使いを追い払おうとするのに、我らが止めることができようか。城の近くで勇者は我々から引き離された。恐ろしいほどの美女が彼を誘惑したのだ。彼は彼女の腕に横たわり、槍を落とした。死の叫び!私は駆けつけたが、クリングゾルは笑い声を残して消えた。彼は聖なる槍を手にした。私は王の退却を助けた。だが、彼のわき腹の傷は焼けるように痛み、決して閉じることがなかった。

湖に行っていた小姓たちが戻ってくる。

グルネマンツ

王の様子はいかがか?

小姓
水浴びで元気になられたようです。

グルネマンツ

(独り言)その傷は、決して閉じることがない。

小姓
あなたはクリングゾルを知っていたのですね?

グルネマンツ

ティトゥレル王、信仰ある勇ましい者が、彼を知っていた。野蛮な敵が信仰の領域を脅かした時、聖なる夜に祝福の使者が彼のもとに訪れた。最後の晩餐で使われた聖なる器、十字架にかけられた時に流れた神の血を受け止めた聖なる器。同時に血を流させた槍。それらを王は預かったのだ。彼は聖遺物のために聖域を作った。神のために人生を捧げた者たちは、罪人が見つけられない道を通ってやってくる。

クリングゾルはその道を見つけられなかった。彼は罪を償い、騎士団に加わるために、自分自身に手を下した(断種した)が、守護者は侮蔑的に突き放した。彼の不名誉な犠牲は、邪悪な魔法への助言になった。彼は砂漠を快楽の園に変えた。そこには悪魔のような美女が現れた。彼はそこで聖杯の騎士を待った。彼は多くの者を堕落させたのだ。

ティトゥレル王が老いたために、子息にこの地を支配させた。アンフォルタスは魔法の災いに歯止めをかけるために向かった。何が起こったのかは、皆が知っているだろう。槍は今、クリングゾルの手にある。

クンドリが激しく転げまわる。

グルネマンツ

聖杯の前で、アンフォルタス王は祈った。聖杯から祝福が輝き、聖なす姿が語り掛けた。はっきりと見える文字を残して。「慈しみをもって知る純粋な愚か者を待て。私が選んだ者だ。」

湖から小姓や騎士たちの叫び声が聞こえてくる。

騎士ら、小姓ら
なんてひどい。白鳥が傷ついている。

白鳥は無理に飛んだ後、地面に落ちてきた。騎士が白鳥から矢を引き抜く。パルジファルが連れられてくる。

グルネマンツ

白鳥を殺したのはお前か?

パルジファル

そうだ。

グルネマンツ

神聖な森で、殺生するとは。白鳥がお前になにをしたというのか?教えてくれ、少年よ、お前は自分の大きな罪を自覚しているか?

パルジファル

知らなかったんだ。

グルネマンツ

名前は?

パルジファル

たくさんあったが、何一つ思い出せない。

グルネマンツ

こんな愚かな者は、クンドリしか知らない。(小姓たちに)さあ、水浴びをする王をおろそかにできない。助けに行け。

騎士や小姓たちは湖に向かう。残ったのは、グルネマンツとパルジファル、クンドリ。

グルネマンツ

お前が知っていることを言え。

パルジファル

母がいる。

グルネマンツ

お前は高貴で生まれも育ちもよさそうだ。お前の母は、お前にもっとよい武器を与えなかったのか?

パルジファルは答えない。

クンドリ

彼の母は戦死した父がいない子を産んだ。彼女は息子を戦死させないために、荒れ地で愚か者を育てた。彼女も愚か者だ。お前の母は死んだ。彼女は愚か者のお前によろしくと言っていた。

パルジファルはクンドリに掴みかかって震える。クンドリは湖の水を汲んでパルジファルに渡す。

グルネマンツ

そうだ、聖杯の恵みに従うことだ。善を行えば、悪を封じる。

クンドリはその場を離れる。

グルネマンツ

お前を神聖な食卓に招待しよう。お前は聖杯に選ばれた者であろう。聖杯に通じる道は、選ばれた者しか通ることができない。

彼らは森を抜けて門を通り、大広間に向かう。

場面転換の音楽

第2場

グラール城の大広間

聖杯の開帳の儀式が騎士や小姓たちによって行われる。グルネマンツとパルジファルは儀式を見ている。

ティトゥレル王
息子のアンフォルタスよ。務めを果たしているか?聖杯を目にして、私は生きることができるか?それとも私は死ぬのか?務めを果たして、罪を償え。

アンフォルタス

開帳するな!誰も私の痛みを理解しない。哀れみを。聖者として、死を望む。

ティトゥレル王
聖杯の覆いを取れ!

少年たちが聖杯の覆いを取り、アンフォルタスの前に聖杯を置く。食卓にワインとパンが用意され、全員が席を着く。グルネマンツも加わる。パルジファルは、立ち尽くす。

高所からの声
我が肉をとれ、我が血をとれ。我らの愛のために。

アンフォルタス王は、痛みで叫び声をあげる。パルジファルは恐れたようにずっと立っていた。

グルネマンツ

お前はただの愚か者だったのだな。去るがいい。一言だけ忠告する。白鳥には構うな。

「パルジファル」第2幕

前奏曲

クリングゾルの城

城の地下。魔法の道具が置かれている。

クリングゾル
時が来た。愚かな若者が私の城にやってくる。クンドリ!ここに来い!

光の中から、眠っている様子のクンドリが出てくる。

クリングゾル
また騎士たちのところにいたのか?

クンドリ

ああ、気が狂いそう。眠りたい。

クリングゾル
彼らはお前を助けはしない。今回は、愚かさに守られた手ごわい者に勝たなければならない。

クンドリ

やりたくない。

クリングゾル
お前の力は私には通用しない。

クンドリ

ハハ!あんたは貞節なのか?

クリングゾル
忌々しい女。かつて私が神聖さを手に入れるために行ったことを、悪魔にあざ笑われるとは。気をつけろ!私をさげすんだ者は、私の手の中に落ちた。お前がアンフォルタスに快楽を与えたのだ!

クンドリ

悔しい。彼は弱かった。

クリングゾル
若者が壁を登り始めた。おい!見張りよ。敵が来るぞ。

クンドリが姿を消す。

クリングゾル
若者よ。純粋さをはぎ取られ、私の思うままになれ。

クリングゾルが姿を消す。パルジファルが城壁に現れる。城から美しい少女たちが現れる。

花の乙女ら
騒がしかったのはここね。私の恋人が血を流した。私たちの敵ね。

パルジファル

彼らが、美しいお前たちに会うために行く道を邪魔したからだ。

花の乙女ら
私たちのところに来ようとしたの?いらっしゃい、可愛い坊や。

花の乙女たちがパルジファルを取り合う。

パルジファル

やめてくれ。

パルジファルはその場から逃げようとする。

クンドリ

ここに留まりなさい。パルジファル。

パルジファル

パルジファル?そういえば、母が私をそう呼んでいた。

クンドリ

(花の乙女たちに)彼から離れろ。傷ついた男たちのもとに行け。

花の乙女たちが去る。

クンドリ

純粋な愚か者、パルジファル。昔、アラビアでお前の父が死ぬ間際に、母の腹の中にいるお前にそう呼びかけたのだ。この名を教えるために、私はここで待っていた。

パルジファル

知らない。聞いたこともない。

クンドリ

私は母の胸に抱かれた子供を見た。彼女は父の愛と死を伝えるために、お前を武器から遠ざけた。お前が行方不明になったとき、彼女は嘆いた。昼も夜も嘆き、嘆きが消えた時、彼女の心は苦悩で死んだ。

パルジファル

私が母を殺したのか。

クンドリ

告白すれば、罪悪感と後悔が終わるだろう。父と母の愛を知るといいわ。お前に体と命を授けた愛には、死も愚かさも屈するだろう。

クンドリはパルジファルに長い口づけをする。パルジファルは叫ぶ。

パルジファル

アンフォルタス!彼の傷が私の体の中で燃えている。

「アンフォルタス」Amfortas! Die Wunde!

クンドリは、パルジファルを抱きしめる。

クンドリ

勇者よ。恵みを与える女に優しくして。

パルジファル

この声だ。彼に呼びかけたのはこの声だ。この眼差しだ。災いの女よ。私から去れ。

クンドリ

残酷な人。その胸に感じるのは、その人の苦痛だけですか?私の痛みも感じて。遥かなる昔からあなたを待っていた。

パルジファル

アンフォルタスへの道を教えれば、救う。

クンドリ

教えない。彼の元には行かせない。

クリングゾルが現れる。槍を振り回す。

クリングゾル
動くな。槍よ、愚か者を刺せ!

クリングゾルが投げた槍は、パルジファルの頭上で止まる。パルジファルが槍を掴む。

パルジファル

呪文でお前の魔力を追い払う。この偽りの栄華を槍で滅びよ。

城は崩れ、荒れ地になる。クンドリは悲鳴をあげる。パルジファルは去るときに、クンドリを見る。

パルジファル

お前は知っている。どこで再会できるかを。

「パルジファル」第3幕

第1場

前奏曲

早朝。森の中の野原。小屋と湧き水がある。グルネマンツが隠者の姿でいる。

グルネマンツ

あの辺りからうめき声が聞こえる。今日は最も神聖な朝なのに。この声には聞き覚えがある。クンドリか?

グルネマンツは、茂みからクンドリを引き上げる。

グルネマンツ

起きろ、クンドリ!

クンドリは目覚めて、叫び声をあげる。正気を取り戻して、身なりを整える。

グルネマンツ

感謝の言葉もないのか。

クンドリ

奉仕する。

グルネマンツ

もうお前に用事を言いつけることはない。

クンドリはあたりを見回して、小屋に入る。

グルネマンツ

歩き方がいつもと違う。聖なる日のおかげなのか。

クンドリは水瓶を手にして、湧き水の場所へ向かう。クンドリは、遠くからやってくる男をグルネマンツに知らせる。

グルネマンツ

湧き水へやってくるのは誰だ?あれは修道士ではない。

森から黒い甲冑に身を包んだパルジファルが現れる。

グルネマンツ

ようこそ、客人よ。何の挨拶もなしなのか?ここは神聖な場所だ。武器をもってうろつく場所ではない。今日は最も神聖な金曜日だ。武具を脱げ。

パルジファルなずっと黙っていた。地面に槍を突き立てて、武具を脱ぐ。祈りを捧げる。

グルネマンツ

(クンドリに)彼はあの愚か者だ。彼はどんな道をたどってここに来たのか。あの槍だ。

パルジファル

感謝を、再びあなたと会えるとは。

グルネマンツ

私だとわかるのだね。

パルジファル

あの方をお救いするために、私は選びだされたと思っています。苦難の道でした。槍の神聖さを保つために武器として使えず、あらゆる武器の傷を受けました。そうやって携えてまいりました。それがあの輝く神聖な槍です。

グルネマンツ

聖杯の騎士団があなたをお待ちしています。アンフォルタスは傷に苦しみ、死を願っています。聖杯はずっと開帳されていません。聖杯を見ると死ねなくなるので、無理に命を終わろうとしているのです。騎士団は聖杯による糧を得られず、弱っています。ティトゥレル王は、聖杯を見ることができず、亡くなりました。

パルジファル

私だ、それは私だ。すべての悲劇を作ってしまった。

パルジファルは気絶しそうになる。クンドリが湧き水を持って来て、パルジファルの足を洗う。

グルネマンツ

清き人よ、清めの水の祝福を受けよ。

パルジファル

今日の草原はなんと美しいのか。

グルネマンツ

これが聖金曜日の奇跡なのだ。

パルジファルはクンドリの額に口づけする。鐘の音が聞こえてくる。

グルネマンツ

正午、時は来た。

3人は、城へ向かう。

場面転換の音楽

第2場

聖堂

喪服を着た騎士たちの行列。ティトゥレル王の遺体を運んでいる。

アンフォルタス

わが父よ、祝福を受けた英雄よ。死を願った私が、あなた死を与えたのだ。

騎士たち
聖杯を開帳してください。

アンフォルタス

ダメだ。私はまだ生きており、傷口がある。勇者たちよ、傷を負った罪人を殺せ。そうすれば、聖杯は輝くだろう。

パルジファルが、グルネマンツとクンドリを伴って現れる。彼は聖槍をアンフォルタスの傷口に当てる。

パルジファル

願いを叶える武器はひとつ。傷を閉じるのは、傷を開いた槍のみ。

アンフォルタスの傷は癒される。

パルジファル

この聖なる槍をあなたたちに持ち帰った。もはや閉ざしてはいけない。聖杯を開帳せよ。

全員
救済の奇跡だ。救世主に救済を。

聖杯が輝く。天上から白い鳩が飛び、パルジファルの頭上に止まる。クンドリはパルジファルを見ながら死ぬ。アンフォルタスとグルネマンツは、パルジファルに跪く。

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