トゥーランドット【誰も寝てはならぬ】歌詞と対訳 Nessun dorma 

トゥーランドット 誰も寝てはならぬ

世界的に有名なアリアで、オペラ「トゥーランドット」を見たことがなくても、「誰も寝てはならぬ」は知っている人が多いです。ですが、「誰も寝てはならぬ」の話の前後と、日本語の歌詞を知ると、歌の印象が変わりますよ。

さいひろ

「誰も寝てはならぬ」は、オペラのスター歌手が満を持して歌うことが多いです。下の動画に出てくる「ヨナス・カウフマン」も有名なオペラ歌手です。

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「誰も寝てはならぬ」前の話

トゥーランドット・第3幕・第1場

トゥーランドットは、自分に求婚する王子に「3つ謎を出し、解ければ結婚、解けなければ打ち首」という条件を出していた。カラフは、謎解きに成功。カラフとの結婚を嫌がる姫をみて、カラフは提案した。

カラフ

明日の朝までに、私の名前を言い当てたら、死にましょう。
わからなければ、私と結婚しましょう。

明日の朝までに、カラフの名前を知ろうと、トゥーランドットは、国中の者に、「男の名前がわかるまでは誰も寝てはならぬ、朝までにわからなければ、皆を処刑する」と布告を出した。

夜、北京の町が恐怖に陥る。遠くの国からやってきたカラフは、誰も自分の名前を知らないと確信。カラフは布告を聞き、勝利に酔いしれて歌うのが、「誰も寝てはならぬ」です。

「誰も寝てはならぬ」Nessun dorma 歌詞と日本語訳

Nessun dorma! Nessun dorma!

Tu pure, o Principessa,
nella tua fredda stanza
guardi le stelle che tremano
d’amore e di speranza!

カラフ

誰も寝てはならぬ! 誰も寝てはならぬ!

あなたも、お姫様
あなたの冷えきった部屋で
震える星を見ている
愛と希​​望で(震える星を)!

Ma il mio mistero è chiuso in me,
il nome mio nessun saprà!

No, no, sulla tua bocca lo dirò,
quando la luce splenderà!

Ed il mio bacio scioglierà
il silenzio che ti fa mia!

Dilegua, o notte! Tramontate, stelle!
Tramontate, stelle! All’alba vincerò!
Vincerò! Vincerò!

カラフ

しかし、私の秘密は 私の中に閉じ込められている。
誰も私の名前は知らない!

だが、あなたの唇に私がそれを告げよう
光が輝く時に!

そして、私のくちづけは(沈黙を)溶かすのだ。
あなたを私のものにする沈黙を!

消えろ、夜よ!沈め、星々よ!
沈め、星々よ!夜明けには、私が勝利する!
勝利する!勝利するのだ!

Il nome suo nessun saprà …
E noi dovrem, ahimè! Morir! Morir!

コーラス(女性の声・北京の民衆)

誰も彼の名前を知らないでしょう…
そして、私たちは悲しいかな、死ぬ!死ぬのだ!

Dilegua, o notte! Tramontate, stelle!
Tramontate, stelle! All’alba vincerò!
Vincerò! Vincerò!

カラフ

消えろ、夜よ!沈め、星々よ!
沈め、星々よ!夜明けには、私が勝利する!
勝利する!勝利するのだ!

「誰も寝てはならぬ」の後、オペラの続き

カラフは、自分の名前は誰も知らないと確信していたが、前日に、北京の町で、カラフの父(盲目)と、遠くの国からカラフ父を助けて北京までお供した元女奴隷のリューと再会していた。ふたりはもちろんカラフの名前を知っている。

前日に、カラフ、カラフ父、リューの姿は民衆に見られており、父とリューは捕まる。リューはカラフ父をかばうため、「わたしだけが名前を知っている」とリューが、すべての拷問を引き受けることになる。

カラフとカラフ父は、リューの拷問を見ている。トゥーランドットは絶対に結婚をしたくないため、役人に拷問させる。

トゥーランドット

早く言うのです。この男の名前を!

拷問に耐えきれず、カラフの名前を言わずにすむよう、リューは自害する。騒然となり、場が解散。

カラフとトゥーランドットが残る。カラフは姫を「残酷な姫だ」と責め立てる。カラフは途中から姫を口説き始める。姫に強引にキスをする。トゥーランドットは動揺し、涙を流す。夜明け前だが、カラフは、姫の涙を見て勝利を確信し、自分の名前を告げる。

カラフ

私の名前は、カラフ。

トゥーランドット

・・・名前がわかったわ!もうすぐ、謎解きの時間よ!!

夜明け。宮殿の外に、ことの成り行きを見守る民衆の前が集まっている。トゥーランドットは言う。

トゥーランドット

男の名前がわかりました。彼の名は、愛!!

「勝利への確信するカラフ」の後ろにいる、民衆の嘆き

コーラス部分

E noi dovrem, ahimè! Morir! Morir!
そして、私たちは悲しいかな、死ぬ!死ぬのだ!

トゥーランドットは、国中の者に、「男の名前がわかるまでは誰も寝てはならぬ、朝までにわからなければ、皆を処刑する」と布告を出したので、北京が恐怖に陥っています。

この後、命を危険にさらされている役人や民衆が、カラフに遠くに去ってくれるようにお願いするのですが、カラフは拒否します。

「誰も寝てはならぬ」男のヴィンチェロ、「今の歌声は」女のヴィンチェロ

別のオペラ作品ですが、実は似ている歌詞があります。

「誰も寝てはならぬ」トゥーランドット

Ed il mio bacio scioglierà il silenzio che ti fa mia!
そして、私のくちづけは、あなたを私のものにする沈黙を溶かすのだ。

All’alba vincerò! Vincerò! Vincerò!
夜明けには、私が勝利する!勝利する!勝利するのだ!

男性が、苦難を乗り越え勝利し、女性を自分のものにするぞ、と高らかに歌うアリア。

「今の歌声は」セビリアの理髪師(「今の歌声は」歌の動画と歌詞の対訳)

Lindoro mio sarà; lo giurai, la vincerò.
リンドーロは私のものになる。勝ち取ると、誓ったわ。

女性が、苦難を乗り越え勝利し、男性を自分のものにするわ、というアリアです。

この二つを比べると、セビリアの理髪師の方が、女性の主張があり、今っぽい感じがしませんか。でも、セビリアの理髪師は、トゥーランドットより、ずっと昔に作られたオペラです。

初演
セビリアの理髪師・・・1816年  トゥーランドット・・・1926年

「どんな男女を描きたいか?」は作曲家の好みなので、年代の古いオペラの方が案外「生き生きとした女性」が登場することがあります。

カラフは、自分のキスに「とても」自信がある・・・

Ed il mio bacio scioglierà il silenzio che ti fa mia!
そして、私のくちづけは、あなたを私のものにする沈黙を溶かすのだ。

「誰も寝てはならぬ」の後に、リューの死があり、その後、トゥーランドットに強引にキス。オペラの上では、トゥーランドットはカラフを好きになるのですが、どうなんでしょうね。「リューの死」が重すぎて、トゥーランドットがカラフに心を動かす要素が見当たらないです。

トゥーランドットは、プッチーニ最後のオペラで、作曲できたのは「リューの死の場面」まで。続きは、プッチーニの草稿を元に、別の人物が完成させています。

オペラの結末は、ハッピーエンドなのになぜかすっきりしません。音楽に説得力がないせいか、台本にそもそもムリがあるのか。「結末がしっくりこない」そんな私のような人のため?に、華々しく盛り上がり系バージョンと、悲壮感のある沈んだ音楽で終わるバージョンがあります。

豪華系 アルファーノ補作版

・・・プッチーニの草稿を元に作られたものです。プッチーニの息子がアルファーノを支持し、作品が完成しました。主流で、ほぼこちらが演奏されます。トゥーランドットがカラフに心を動かすさまが、音楽的に唐突という意見があります。

悲壮系 ベリオ補作版

・・・こちらもプッチーニの草稿を元に作られました。トゥーランドットがカラフに心を動かすさまを自然に音楽で表現しています。ルチアーノ・ベリオ(1925~2003)は、プッチーニ(1858~1924)の死後の作家ですから、正式とは言いづらいですね。

華々しくオペラが終わった方が、観客としては「オペラ見たぞ!」的な充実感があるので、華々しいアルファーノ補作版の方がいいかな、とは思います。

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