【ローエングリン】のあらすじ・ワーグナー

ローエングリン ワーグナー

「ローエングリン」は、ワーグナーの最後のオペラです。ローエングリン以降の作品は、「楽劇」と呼びます。

女性の夢に出てきた、「白鳥の騎士」が現実に現れる
ローエングリンには、結婚式でよく使われる「結婚行進曲」が劇中に出てくる

見所のある、ワーグナーのオペラ「ローエングリン」です。

有名な「結婚行進曲」は、第3幕・第1場に出てきます。

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「ローエングリン」の簡単なあらすじ

領主の死、残された姉弟 → 悪人夫婦が、国の乗っ取りを企む → 弟は行方不明、姉(エルザ)が冤罪に → 白鳥の騎士が現れ、エルザを助ける → 騎士とエルザの約束「俺の名前を聞くな」 → 悪人夫婦(魔女)がエルザに騎士への疑念を持たせる → エルザが騎士に名前を聞いてしまう → 騎士は名前を言い、この国を去らなけらばならない、と言う → 弟が戻り、騎士が去る → エルザの死

舞台前の出来事

ブラバント公国で、領主の死後、二人の姉弟が残される。姉は、ブラバントの公女、エルザ、弟は、領主の世継ぎ、ゴットフリート。テルラムント伯爵は、エルザに求婚するが振られて、オルトルートという魔女と結婚する。

表向き・・・エルザと弟が森に出かけて、エルザが一人で戻ってきた
実は・・・・伯爵と魔女が、弟を行方不明にした(魔女が弟を白鳥にした)

ここから、ローエングリンの本編

ブラバント公国に、ドイツ国王が、兵を集めるために訪問。伯爵は、「エルザが弟を殺したようなので、告発したい。さらに、自分を領主に任命して欲しい。」とドイツ国王に申し立てる。

ドイツ国王はエルザを呼ぶ。エルザは、「夢で白鳥の騎士を見た。彼が私の代わりに、伯爵と戦ってくれる」という。両者の言い分に証拠がないため、神明裁判をすることになる。

白鳥を引き連れた騎士が現れる。騎士はエルザに、「自分の名前と素性を聞かない」ことを条件に、伯爵と戦うことになる。騎士が勝ち、伯爵の命は助けることにする。

伯爵の妻である、魔女は、エルザに騎士の素性が怪しいと、疑いを持たせる。魔女が騎士に名前を聞くと、「私に名前を聞いてよいのはエルザだけ、他の者の質問には答えない」という。エルザと騎士は結婚式を挙げる。

結婚式後、エルザは騎士に名前を聞いてしまう。二人の部屋に伯爵が討ち入り、騎士が伯爵を殺す。

騎士は、みんなの前で「私は、ローエングリン。素性が知られれば、元の国に帰らないといけない」という。白鳥が弟に戻り、魔女の悪事がばれる。騎士が去り、エルザは、死ぬ。

相関図と登場人物(ローエングリン・エルザ・オルトルート)

ローエングリン 相関図
ローエングリン白鳥の騎士テノール
エルザブラバントの公女ソプラノ
オルトルート魔女メゾソプラノ

基本情報(作曲ワーグナー・ドイツ語)

Lohengrin ローエングリン

  • 作曲 ワーグナー
  • 初演 1850年8月28日 ワイマール宮廷劇場
  • 原作 ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ「パルツィファル」
    コンラート・フォン・ヴェルツブルク「白馬の騎士」
    ドイツ「ローエングリン叙事詩」ほか
  • 台本 リヒャルト・ワーグナー ドイツ語

【解説】ローエングリンに出てくる「神明裁判」とは?

神明裁判とは、「両者の間でトラブルがあるが、証拠がなく、判断がつかない」ときに、神の判断を仰ぐために行われる裁判方法です。宗教や時代によってやりかたは、異なります。

適用範囲は、身分が低い者、評判が悪い者、性犯罪を調べるため、異端の者。魔女裁判も含まれます。

片方が、裁判集会に相手を呼び出してから、始まる。

呼び出された側が、相手の主張を認めるか、否定するか。

否定した場合、雪冤宣誓(訴えられた者が自分の人格を保証する人を12人集める)で、成功か、失敗か。

失敗した場合、神明裁判が行われる。

ローエングリンの神明裁判は、「決闘をして勝った方を勝者とする。代理を立ててもよい。」となっています。

ローエングリン第1幕 エルザが夢に見た、白鳥の騎士が現れる

アントワープ郊外のシェルデ河畔

ブラバント公国に、ドイツ国王が訪問している。ハンガリーと戦うため、兵の募集に来たのだ。

公国中の貴族や兵たちが集まっている中、伯爵がドイツ国王に申し立てる。

伯爵

エルザが、ブラバント公国の跡継ぎである弟を殺したようなので、告発したい。また、公国を治める権利がある私を、領主に任命して欲しい。

ドイツ国王は、ブラバント公国の公女、エルザを呼ぶ。

エルザ

夢の中で見た、騎士が私のために戦ってくれます。

エルザの発言を聞いて、周囲が「まだ夢を見ているような、どこか様子が変なエルザ」を見て不審に思っている。

ドイツ国王はエルザと伯爵のどちらが正しいのかわからないため、神明裁判で、伯爵とエルザの代表者が戦うことで、どちらが正しいか、神に判断してもらうことにする。

神明裁判をするための、ラッパが鳴る。誰も来ないかと、思われたときに、白鳥のひいた船に乗って、騎士がやってくる。

ローエングリン

エルザのために戦います。戦いに勝った際には、結婚しましょう。ただ、ひとつ約束してほしい。

「私の名前や素性を、決して聞いてはいけない」

エルザ

わかりました。

神明裁判が行われる。白鳥の騎士は、伯爵と戦い、勝つ。

ローエングリン

伯爵よ。神の判断により、お前の命は私のものだ。命だけは助けよう。

ドイツ国王は、白鳥の騎士を祝福し、伯爵夫婦以外が、みんな祝福している。

ローエングリン第2幕 エルザは「騎士への疑念」をもつ

アントワープの城内

夜。伯爵と妻である、魔女オルトルートは、くやしがっている。

伯爵

名誉や名声を失い、これからどうしたらいいのか。お前を信じたばかりに、こんなことに!

森に住んでいたおまえが、「エルザが、弟を沼で殺しているのを見た」と言ったのだぞ。

さらに、「あなたこそ領主がふさわしい」と私に甘言し、結局お前と結婚するはめになってしまった!!!

オルトルート

私を罵って、どうするの?あの騎士は、「私の名前と素性を聞くな」と言っていたわ。きっと、名前を知られれば、すべての力を失ってしまうのよ。

その質問を禁止したのは、あの女、エルザだけ。彼女が、質問さえすれば、こっちのものよ!!

あと、もうひとつ勝つ方法がある。

彼の体を少しでも傷つければ、意のままになるはず。

エルザは、ひとりでバルコニーにいる。エルザを見つけた魔女は、夫を追い払い、ひとりでエルザに話しかける。

オルトルート

夫が不幸な妄想のために、あなたを陥れて申し訳ありません。罪を償うために、生きているのです・・・

エルザ

みじめなあなたを見ていると、胸が詰まりそう・・・明日の朝、騎士に慈悲を求めてみます。

オルトルート

お礼は何も出来ないけれど、あなたに助言します。幸せに目をくらませないでください。あなたに災いがふりかからないように・・・

エルザ

災いとは?

オルトルート

不可思議な現れ方をし、名前も素性もわからない騎士が、突然去ることがないとでも?

エルザ

エルザの心に、少しの疑念が生まれるが、振り払う。)

純粋に人を信じる喜びを、あなたにも教えてあげます。

朝。王の伝令が次のことを言う。「伯爵の追放の刑が決定した。エルザと騎士の結婚式を行う。騎士は領主になることを固辞したので、ブラバント公国の守護者として、戦にでることになった」

城内に、貴族や兵士たちが集まっている。伯爵が現れ、自分の元家臣たちに「大胆なことをやるつもりだ」と言って、彼らとその場を離れる。

豪華なドレスを着た、女性たちの長い行列。エルザは彼女たちと共に、結婚のために教会へ向かう。行列の最後にいた魔女が、エルザに走り寄る。

オルトルート

もう我慢できない。あなたの侍女になんて、なれるものですか。

エルザ

私は、あなたの夜の振る舞いにだまされたのね。

オルトルート

私の夫は、この国では、名前も素性も知られ、尊敬されていた。

あなたの夫は、誰も名前を知らず、あなたも彼の名前を知らない。どのような素性で、どこから来て、どこへ帰るのか?

魔法で力を得ているから、言えないのだわ。

エルザ

なんて酷いことを言うの。

ドイツ国王や白鳥の騎士、貴族たちが行列を作ってやってくる。女性たちの行列が教会まで進まずに、止まっているのに驚いている。

エルザ

私を救ってくれた人よ。オルトルートが「あなたのことを信じすぎている」というのです。

ローエングリン

エルザに近づくな。お前が勝つことはない。

魔女が去り、ドイツ国王と白鳥の騎士、エルザが、教会に進もうとすると、今度は伯爵がやってくる。

伯爵

私は、この男の魔法の力に負けたのです。

名前も素性もわからない、あやしいやつ。野生の白鳥が船をひく、なんてことがあるのは、おかしい。

ローエングリン

おまえにも、王の問いにも、答えない。

私が質問に答えないといけないひとは、ただひとり、エルザ。

伯爵がエルザに駆け寄り、小声で話しかける。

伯爵の小声

「エルザ!!私を信じてください。彼の体を少し傷つければ、彼の隠し事はなくなり、あなたのそばにいるでしょう。夜にまた訪ねます。呼んでくれれば駆けつける。」

白鳥の騎士が、二人の様子に気がついて、伯爵を追い払う。

ローエングリン

私たちの幸福は、あなたにかかっている。私への疑いは、ありますか?問いは、ありますか?

エルザ

私の愛は、疑いなど、ものともしません。

多くの人たちに祝福されて、ふたりは、教会の入り口へ進む。

ローエングリン第3幕 騎士は帰り、エルザは死ぬ

第1場 エルザが白鳥の騎士に、素性を聞く

新婚の部屋

新郎新婦の寝室。遠くから、「婚礼の合唱」が聞こえる。結婚行進曲

エルザを中心にした女性の行列と、白鳥の騎士を中心とした男性の行列が、部屋に入ってくる。ドイツ国王が二人を祝福して去る。エルザと白鳥の騎士は、二人きりになる。

エルザ

あなたにとって、価値のある存在なら、秘密を教えて欲しい。全世界に黙っていないといけない、暗い秘密なのですか?

ローエングリン

疑う必要はないのです。夜の世界から来たのではなく、明るい昼の世界から来たのですから。

エルザ

そんなにも、魅力的な国からやってきたのね。それならば、すぐに去ってしまうかもしれない。

私への愛が冷めて、いなくなってしまったら?あなたがいてくれる保証がどこにあるの?疑いが止まらない・・・

あなたの名前と素性を、教えてください。

部屋に、伯爵と家臣たちが押し入ってくる。白鳥の騎士が、伯爵を殺す。エルザは気絶。

ローエングリン

私たちの幸せは、全て消え去った。

騎士は、女官たちに、「エルザの衣装を整えるように」と言って、部屋から出て行く。

第2場 騎士は去り、代わりにエルザの弟が戻る

シェルデ河畔

ドイツ国王と、民衆たちが集まっている。伯爵の遺体が運ばれる。エルザが顔面蒼白で、女官らに連れられてやってくる。

ローエングリン

ドイツ国王。私は、あなたと一緒に戦うことができません。
昨夜、伯爵に押し入られ、彼を打ち倒しました。

そして、エルザは、私の名前と素性を聞いてしまったのです。

皆がざわつき、エルザが約束を破り、質問をしてしまったことに驚いている。

ローエングリン

あなた方が、近づくことの出来ない国。そこには城がある。
聖杯の城の王、パルツィヴァルの息子、ローエングリンだ。

「遙かな国に」In fernem Land

ローエングリン

エルザ。もはや、私は去るしかありません。

エルザは、必死に残ってくれるように頼む。岸辺に、白鳥がやってくる。

ローエングリン

白鳥よ、来てくれてありがとう。あと一年経てば、あなたも別の姿になっていたのに・・・

エルザ。あと一年でも、あなたを見守りたかった。弟は、いずれ帰ってきます。さようなら、お元気で。

ローエングリンは、岸辺に走っていく。

オルトルート

帰れ!帰れ!愚かなエルザに教えてあげよう。

私は、船をひいている白鳥が誰なのか、わかっていたのよ。
白鳥がブラバント公国の世継ぎ(エルザの弟)だと。

エルザ。騎士を追い払ってくれてありがとう。
騎士は、白鳥と共に、帰って行くのさ!!!

魔女の言葉を聞いていたローエングリン。彼が祈りを捧げると、白鳥が弟に戻る。それを見た魔女は、倒れ込む。

弟とエルザの再会。騎士は去って行く。エルザは、弟の腕の中で亡くなる。

実際に「ローエングリン」の舞台を観るなら

2016年に新国立劇場で公演がありました。サイトで写真などが見られます。

【公式】新国立劇場オペラ「ローエングリン」の公演情報

「ローエングリン」のおすすめDVD

2009年、バイエルン国立歌劇場。

ローエングリンは、ヨナス・カウフマン。

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