【フィガロの結婚】のあらすじ・モーツァルト

フィガロの結婚 モーツァルト

「フィガロの結婚」は人気オペラで、有名な曲が目白押し、美しいアリアをたくさん聴くことができます。

ただ、もしこれまでにオペラを観たことがなく、初観劇に「フィガロの結婚」を選ぶのなら、劇場で寝てしまう可能性が高いです。

  • 物語が複雑
  • 登場人物が多い(入り組んだ人間関係)
  • 上演時間が長い

難易度は高めのオペラですが、フィガロの結婚には奥深い面白さがあり、一生に一度は観ておくべきオペラです。

なぜ、フィガロの結婚が複雑なのか?の答えは下にあります。

  • フィガロの計画が失敗し、伯爵夫人とスザンナの計画に変更
  • 登場人物たちの立ち位置が複数回変わる
  • スザンナの部屋、伯爵夫人の部屋で、2度かくれんぼが起こる

別記事にて、上記について簡単に解説しています。(フィガロの結婚の解説記事

ややこしい「フィガロの結婚」ですが、あらすじを知らなくても、楽しむコツがあります。

それはオペラを観る前に、「フィガロが主役ではないこと、注目すべき人物は、伯爵、伯爵夫人、スザンナである」と知っておくことです。

「フィガロの結婚」を簡単にみるコツ

フィガロは主役ではない

オペラで押さえるべき人物
伯爵、伯爵夫人、スザンナ

  • 初心者
    通好み
  • 音楽
    易しい
    難しい
  • 内容
    易しい
    難しい
タップできる目次

オペラ「フィガロの結婚」の簡単なあらすじ

フィガロと女中のスザンナは結婚目前。そんな中、伯爵がスザンナに手を出そうと狙っている。その話を聞いたフィガロは、「伯爵を出し抜き、自分たちの結婚を認めさせる計画」を立てる。だが、計画にほころびが出て、伯爵夫人が窮地に。なんとか乗り切る。

フィガロの計画を変更して、伯爵夫人とスザンナが新たに「伯爵をこらしめる計画」を考える。計画は成功。伯爵は夫人に謝罪し、夫人は伯爵を許す。

さいひろ

簡単な内容に見えますが、これは表面上のあらすじです。

登場人物の思惑、過去が出てきて、ややこしくなります。

相関図と登場人物(伯爵・伯爵夫人・スザンナ)

フィガロの結婚 相関図
アルマヴィーヴァ伯爵伯爵バリトン
伯爵夫人伯爵夫人ソプラノ
スザンナ女中ソプラノ

作曲モーツァルト・初演・原作・台本・上演時間

フィガロの結婚 Le nozze di Figaro

  • 作曲 モーツァルト
  • 初演 1786年5月1日 ウィーン ブルク劇場
  • 原作 ピエール・オーギュスタン・カロン・ド・ボーマルシェの戯曲「フィガロの結婚」
  • 台本 ロレンツォ・ダ・ポンテ イタリア語
  • 上演時間 2時間45分(第1幕40分 第2幕45分 第3幕40分 第4幕40分)

【解説】時代背景(フランス革命前の出来事)

フィガロの結婚では「貴族」対「庶民」の「階級の対立」が描かれています。

原作「フィガロの結婚」の戯曲を書いたボーマルシェは「筆でフランス革命を起こした」と言われるほどの人物。

オペラは検閲のために風刺を弱めましたが、原作の戯曲はもっと風刺の効いた作品でした。

フィガロの結婚序曲・誰もが聴いたこのある有名な曲 

「フィガロの結婚」の始まり相応しい、軽快な序曲。テレビや店舗など、日常生活でも耳にする機会が多い曲です。オペラだけでなく、コンサートで単独で演奏されます。4分ほどで聴きやすいです。

フィガロの結婚第1幕・浮気者の伯爵がスザンナを狙う

アルマヴィーヴァ伯爵邸の一室

中央にイスがあるだけの、何もない部屋。伯爵家に仕えるスザンナとフィガロが、結婚を控えて二人の部屋を見ている。

スザンナ

この部屋は気に入らないわ。

フィガロ

なぜ?伯爵の部屋に近くて、使用人として働くのに便利だろう。

スザンナ

わかってないのね!なんのために部屋が近いのかを考えて。

伯爵はあちこちで浮気をしているのよ。新たに目をつけたのが、あなたのスザンナよ!

二人が話し合っているところに、伯爵夫人の呼び出しのベルが鳴る。スザンナは部屋を出て行く。

フィガロ

たとえ伯爵でも横暴は許さないぞ!どうしたものか。

「伯爵様、踊りになりたければ」Se vuol ballare

一人残ったフィガロは伯爵を思うままにさせないと決意し、策を練りに出かける。


二人がいなくなった部屋に、女中頭のマルチェリーナと医師のバルトロが現れる。

マルチェリーナ

フィガロを諦めないわ。この契約書があるんですもの。(借金のかたにフィガロとマルチェリーナが結婚するという契約書)

バルトロ

お前に協力するよ。

フィガロの策略のせいで、わしが結婚しようと狙っていた女(伯爵夫人)を、別の男(伯爵)に盗られたんだからな。

(このエピソードは、オペラ「セビリアの理髪師」でわかります。)

バルトロは「フィガロに復讐して、勝ってやるぞ!」と息巻いて出て行く。

マルチェリーナが一人になったところに、スザンナが部屋に戻ってくる。マルチェリーナは、スザンナが戻ったのを気がつかないふりをして、嫌みを言う。

マルチェリーナ

(スザンナに聞こえるように、独り言)
フィガロは、若い女と結婚したがっているけど、フィガロは貧乏なのよね。本当に結婚できるかしら。

スザンナ

(ひどい言い方!馬鹿にしているわ!)

マルチェリーナとスザンナは言い争いになって、マルチェリーナは怒って部屋を出て行く。


スザンナが自室にひとりでいると、伯爵の小姓ケルビーノが入ってくる。

ケルビーノ

スザンナ、聞いてよ。僕とバルバリーナがふたりでいるところを伯爵に見られて、暇を出されたんだ。

美しい伯爵夫人の取りなしがないと、遠くに行くことになってしまう。君にも会えなくなるんだ。僕のスザンナ!

伯爵は、バルバリーナをナンパしに彼女の部屋に行き、ケルビーノに出くわしました。バルバリーナに手を出そうとしているのを見られたために、ケルビーノを自分の屋敷から追い出そうとしています。

ちなみにスザンナと気安く話していますが、ケルビーノは貴族。

スザンナ

私に会えなくなるですって!それではあなたが好きなのは、伯爵夫人ではないってこと?

ケルビーノは、スザンナの持っているリボンに気がつく。スザンナが「伯爵夫人のリボンだと言うと、奪い取ってしまう。

ケルビーノ

リボンを返さない代わりに、この歌を歌うよ。

スザンナ、伯爵夫人、バルバリーナ、マルチェリーナ、屋敷の女たち、すべてに伝えてくれ。

(ケルビーノのアリア)
僕が自分でも、もうわからない。どんな女にも僕の気持ちが動き、どんな女にも胸を高鳴らせる。寝ても覚めても、愛を誰かと語りたい。一人なら、自分に愛を語るのさ。

「自分で自分がわからない」Non so piu cosa son, cosa faccio

ケルビーノとスザンナが話していると、伯爵が入ってくる。とっさに、ケルビーノが椅子の後ろに隠れる。(椅子しかない部屋なので、隠れる場所が椅子だけ)

伯爵

スザンナ。夕暮れに庭で一緒に過ごせば、君に何でもあげよう。(お金をあげるから、寝よう)

部屋の外から、音楽教師の声が聞こえてくる。部屋に入ってくる様子がする。伯爵が椅子の後ろに隠れようとするので、スザンナはケルビーノを椅子に座らせて自分の部屋着を掛けて隠す。

伯爵とケルビーノが隠れている部屋に音楽教師が入ってくる。スザンナは対応する。

スザンナ

なんのご用です?

音楽教師

伯爵はここにはいないようだね。
君に一言言おう。伯爵と寝るのはそんなに悪いことではないぞ。

ところで、スザンナ。ケルビーノを教育しなさい。
ケルビーノが伯爵夫人を熱烈な目で見ているのが噂になっているぞ。

隠れていた伯爵が怒って出てくる。音楽教師は、伯爵とスザンナに対して変な勘ぐりをし、スザンナは気分が悪くなる。

伯爵

私の妻に色目を使うとは、絶対にケルビーノを追い出すぞ。

昨日、バルバリーナの部屋を訪れたら、挙動不審だから部屋中を探したら、ケルビーノがいたんだ。こんなふうに・・・ああ!!

伯爵が椅子の上の部屋着をめくると、ケルビーノがいる。伯爵は怒り、音楽教師はおもしろがる。伯爵は、ケルビーノが最初からこの部屋におり、スザンナを口説く様子を聞かれたことに、気がつく。

フィガロが、村人たちを連れて部屋に入ってくる。皆で、初夜権を廃止した伯爵を褒め称える。伯爵は、フィガロを忌々しく思いながらも、威厳のある領主のようにふるまう。皆が伯爵を称えるなか、ケルビーノは元気がない。ケルビーノは伯爵に謝罪するが許されない。

伯爵

兵に欠員があるので、お前を任命する。すぐに出発しろ。
ケルビーノ、最後だと思ってスザンナを抱きしめるといい。
(↑フィガロに対する、嫌がらせ)

ケルビーノが、スザンナを抱きしめる。

フィガロ

さあ、握手しよう。さようなら、ケルビーノ。
(小声で、後で話をしようと声をかける)

(フィガロのアリア)
愛らしい蝶も、もう美しい女の周りを飛び回れない。
さあ、君は兵士たちの中に行くんだ。いかつい男たちに囲まれ、熱いときも寒いときも、名誉のために行進だ。

「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」Non più andrai, farfallone amoroso

フィガロの結婚第2幕・フィガロの計画は失敗。伯爵夫人がトラブルに

伯爵夫人の居間

三つの扉があり、ベッド、ひとつの窓がある豪華な部屋。(この幕では、扉がポイントになる。主となる扉、女中が通る扉、衣装部屋の扉)

伯爵夫人が、夫の愛が冷めていることをひとり嘆いている。

伯爵夫人

愛の神よ、安らぎを与えておくれ。もし無理なら死んでしまいたい。

「愛の神よ、安らぎを与えたまえ」Porgi, amor, qualche ristoro

スザンナが部屋に入る。スザンナは伯爵夫人に、伯爵から誘惑されたことを話す。

スザンナ

伯爵は私を口説いたのではなく、お金で契約しようとしたのです。

伯爵夫人が悲しむ中、フィガロが陽気にやって来る。

フィガロ

ご心配無用ですよ。私に計画があります。

奥様が私どもの結婚式の時間に秘密の恋人と密会するとみせかけるのです。伯爵をだます手紙を私が書きましょう。伯爵が困惑し、悩んでいる間に、私どもの結婚の時間がくる、というわけです。婚礼の時間になれば、奥様のいる前では結婚に反対できないでしょう。

スザンナはすぐに伯爵を夕方に庭で待つように伝えるんだ。そこにはスザンナの代わりに女装したケルビーノを行かせよう。ケルビーノは、まだ軍に出発していないんだ。僕が引き留めたから。

スザンナと伯爵夫人は「どう?」「悪くないアイデア」と話し、とりあえずフィガロに任せようと賛成する。フィガロは「伯爵は今狩りに出かけているから丁度いいだろう。ケルビーノをすぐに寄こす」と言ってフィガロがでていく。


伯爵夫人とスザンナがいる部屋に、ケルビーノが入ってくる。伯爵夫人が、ケルビーノに自作の歌を歌うよう求め、スザンナにギターで伴奏するように言う。

ケルビーノ

(ケルビーノのアリア)
恋とはどんなものか。知っているご婦人がたは教えてください。
僕には新しい経験なので、わからないのです。

「恋とはどんなものかしら」Voi che sapete

二人は、ケルビーノの歌を褒める。フィガロの作戦通り、ケルビーノを女装させようとする。着替えさせるので、スザンナは、夫人の部屋の、主となるひとつの扉の鍵を掛ける。その最中に、伯爵夫人が「ケルビーノの辞令に印がない」のを指摘する。(←後に話で出てくる)ケルビーノを女装させながら、伯爵夫人とスザンナは「かわいいわねえ!!」と大盛り上がり。

夫人はケルビーノが自分のリボンを腕に巻いているのに気がつく。ケルビーノが怪我をしているので、別の布で巻き直そうとする。そして夫人は新しいリボンをスザンナに用意させる。

ケルビーノ

(すでに巻いていたリボンだけでなく)もうひとつリボンがあれば、もっと早く治りましたのに。

スザンナが、ケルビーノ用のマントを取りに、別の扉を通り、夫人の部屋から出る。夫人は「そんなご利益はないわよ」と軽くあしらうが、ケルビーノは兵に入ることを考え泣いてしまう。伯爵夫人はケルビーノの涙をハンカチで拭いてあげる。

夫人の部屋の外から、伯爵の怒鳴り声が聞こえてくる。

伯爵

なぜ、部屋に鍵が掛かっているのか?

伯爵夫人は慌てて、ケルビーノは衣装部屋に隠れる。(先ほど、スザンナは部屋から出たのでいない。)

伯爵夫人が部屋の鍵を開けて、伯爵を招き入れる。

伯爵

今まで鍵をかけることがなかったのに、なんでだ。
いや、いい。この手紙を見ろ。
衣装部屋から物音がしたぞ、誰かいるのか。

(浮気相手の男がいるのだろう!)

伯爵夫人

(フィガロが書いた手紙だわ。)

衣装部屋にはスザンナがいます。花嫁衣装を着ているのです。
衣装部屋は開けませんよ。

二人が夫人の部屋の中にある、衣装部屋の前で話している。スザンナが、夫人の部屋に戻ってきた。スザンナはふたりに見えないように隠れる。

伯爵

お前が開けないならば、鍵以外の方法で部屋を開ける!

伯爵は、夫人の部屋の扉に鍵を掛けて、誰も出られないようにする。夫人を連れて、伯爵が出て行く。

スザンナとケルビーノが、部屋に閉じ込められる。ケルビーノは、部屋にあるひとつの窓から飛び降りて出て行く。(夫人の部屋は二階)

スザンナが衣装部屋に入る。夫人と伯爵が戻る。伯爵は、すべての扉が閉まっているのか、確認している。

伯爵夫人

衣装部屋を開けるのはやめてください。
実はいたずらをしようとして、中にケルビーノがいるのです。

伯爵

(あいつに至る所で出くわすのが、私の運命になりそうだ。)

なんだって。まだ出発していないのか!!

(あいつに至る所で出くわすのが、私の運命になりそうだ。)

「フィガロの結婚」では重要な台詞ではないですが、続編の「罪ある母」に関係のある台詞です。伯爵夫人とケルビーノが不倫をして子供を身ごもるので、後々も関わり合うのです。一方で、伯爵も多く浮気をしており、婚外子がいて、その子の後見人になっています。

フィガロの結婚の続編「罪ある母」のあらすじはこちらから

夫人が、衣装部屋の鍵を渡し、伯爵が鍵を開けると、スザンナがいる。ふたりは、スザンナがいるのを見て驚く。伯爵は、衣装部屋に入り、スザンナしかいないのを確認する。

伯爵

とんでもない、間違いをしてしまった。申し訳ない。

このような悪ふざけは酷いぞ。ケルビーノがいると言ったり、隠し事があるようなそぶりで・・・それに、このひどい手紙は何なんだ。

伯爵夫人

伯爵夫人とスザンナ

フィガロが書いた手紙です。でも、謝罪をする者が、他の者を責めるなんて出来ませんよ。

伯爵夫人とスザンナは、二人で強気に出て、伯爵を懲らしめる。3人が部屋にいるところに、フィガロがやってきて、「結婚式の準備ができたぞ。」とスザンナを連れて行こうとする。

伯爵

ちょっと待て、フィガロ。この手紙は何だ。

フィガロ

知りませんよ、そのような手紙は。

伯爵夫人

伯爵夫人とスザンナ

フィガロ、知恵を絞っても、無駄よ。私たちが話してしまったもの。
お芝居は終わりよ、それよりも私たちは言うことがあるでしょう。

フィガロ、伯爵夫人、スザンナは、「早く結婚を認めるように!」と伯爵に迫る。

そこに、庭師が現れる。「伯爵夫人の窓から若い男が飛び降りて、植木鉢が割れた」と庭師が言うが、フィガロが自分が飛び降りたと名乗り出る。だが、ケルビーノが逃げるときに、辞令の紙を落としていて、庭師が拾っていた。伯爵は庭師からその紙を受取り、フィガロには見せない。「何の紙か言え」と言う。伯爵夫人が紙を盗み見て、「辞令の紙」とスザンナに伝え、スザンナが「辞令の紙」とフィガロに伝える。

フィガロ

ああ、ケルビーノから預かった、辞令の紙のことか。

なぜ預かったかというと・・・(苦し紛れに)あるものがなかったから。

夫人が「印よ」とスザンナに伝え、スザンナが「印よ」とフィガロに伝える。フィガロが「印がなかったため」と言い、伯爵は、辞令に印がないのに気がついて、紙を捨ててしまう。

女中頭のマルチェリーナ、医師のバルトロ、音楽家がやってくる。(←彼らは伯爵の利益になる人たち)伯爵は、彼らが来たのを喜び、フィガロ、伯爵夫人、スザンナは身構える。

マルチェリーナ

この契約書があるわよ!!フィガロは、借金のかたに私と結婚する契約をしたのです。私は、裁判を起こしますよ。

フィガロ、伯爵夫人、スザンナはこの状況に当惑し、伯爵、マルチェリーナ、バルトロ、音楽家は、うまくいくに違いないとほくそ笑んでいる。

フィガロの結婚第3幕・計画を変更。伯爵夫人とスザンナの計画が進む

伯爵邸、大広間

立派な椅子が二つに、婚礼の準備が整った部屋。伯爵がひとり、悩んでいる。

伯爵

不可解な手紙(フィガロが書いた手紙)といい、何か変だ。

同じ舞台上で伯爵から見えない位置で、伯爵夫人とスザンナは、二人で今夜行う策略を練っている。

伯爵夫人

スザンナ。伯爵を夕方の庭に呼び出しなさい。フィガロには秘密で。
あなたの代わりに私が行きたいの。

スザンナ

フィガロには秘密で、計画を進めるのですね。

なぜ、フィガロに秘密にしたいのか?

フィガロの計画・・・伯爵を庭に呼び出し、スザンナの代わりに女装したケルビーノが行く
夫人の計画 ・・・・庭に呼び出し、スザンナの代わりに伯爵夫人自らが行く

伯爵夫人は隠れて、スザンナが伯爵に声をかける。

スザンナ

あの申し出は有効ですか?持参金をもらえるなら・・・(寝てもいいですよ)

伯爵

あんなにつれない態度だったのに、ひどいぞ。でも、申し出を受け入れてくれるなら、問題ない!

伯爵は、スザンナの誘いを喜ぶ。ひとの気配がしてふたりは別々に。スザンナのそばをフィガロが通りかかり、その後ろに伯爵がいる。

スザンナ

フィガロ!あなたは、弁護士なしで、裁判に勝つわ!

フィガロは「何のことだ?」とスザンナを追いかける。それを聞いていた、伯爵。

伯爵

勝つとはなんだ。下男(フィガロ)や女中(スザンナ)に負けてなるものか。

「もうお前の勝ちだと言ったな」Hai già vinta la causa

伯爵は、マルチェリーナの裁判のために自宅に呼んだ裁判官と出くわす。一同がそろい裁判が始まり、フィガロはマルチェリーナと結婚するように、命じられる。

フィガロ

私は貴族です。貴族なので、両親の承諾なしに結婚できません。幼い頃に泥棒に盗まれ、赤ん坊の時に身につけていた衣類は宝石や刺繍がされていました。腕にはアザがあります。

マルチェリーナ

何ですって。アザは右腕にあるの?フィガロ!私の息子よ!あなたのお父さんは、バルトロよ。

一同が驚く中、フィガロ、マルチェリーナ、バルトロが抱き合って喜ぶ。

裁判官が「親子なら結婚は成立しない」と言う。伯爵は「頭が混乱してきた」とその場を離れようとする。そこに、スザンナがやって来る。スザンナは、フィガロとマルチェリーナが抱き合っているので、ふたりが結婚をしたのかと誤解する。

マルチェリーナ

スザンナ。私を母と呼んでくれ。私はフィガロの母なのだ。

スザンナ、フィガロ、マルチェリーナ、バルトロが抱き合って喜ぶ。伯爵や裁判官は、その場を離れる。4人は、喜び、フィガロたちと一緒に、マルチェリーナたちも結婚することになった。「私たちの喜びを見て、伯爵はくたばってしまえばいい」と皆で喜ぶ。


そのころ、ケルビーノは、バルバリーナと一緒にいる。バルバリーナもケルビーノに女装させようとしている。


伯爵夫人がひとり、悲しみを歌い、出て行く。

伯爵夫人

今夜の計画がどうなるか不安だわ。夫は初めは愛してくれたが、裏切り、ついに私は召使いの手を借りないといけなくなった・・・

「楽しい思い出はどこに」E Susanna non vien – Dove sono

伯爵、庭師から「ケルビーノがまだ屋敷内にいる」と報告をうける。

伯爵夫人とスザンナがふたりで、深夜に伯爵を呼び出す手紙を書く。

伯爵夫人

(伯爵夫人とスザンナの二重唱)
今夜、やわらかな風が吹くでしょう。松の下で・・・

これだけ書けば、夫もわかるでしょう。

「手紙の二重唱」Sull’aria…Che soave zeffiretto

スザンナ

(伯爵夫人の言われた通りに手紙を書く)

今夜・・・風が吹く・・・松の下で・・・

そうですね。あの方はおわかりになるでしょう。

2組の結婚式

女装したケルビーノが現れ、伯爵がケルビーノを懲らしめようとすると、バルバリーナに「あなたが私を口説くときになんでもくれると言うでしょ。ケルビーノをください。そうしたらあなたを愛しますわ」と言う。伯爵は「なぜこんなことに」とうなだれる。

結婚式で盛り上がる中、スザンナは、こっそり伯爵に「夫人と一緒に書いた手紙(夜中、庭に誘い出す手紙)」を渡す。伯爵は喜び、フィガロは、伯爵に「どこかの女」が手紙を渡したことに気がつく。

フィガロの結婚第4幕・伯爵夫人とスザンナの計画が成功

伯爵邸、夜の庭

真夜中の庭、小屋がある。

バルバリーナがひとり。伯爵からスザンナに渡すように言われたものを落としてしまい、探している。通りがかったフィガロが彼女と会話。フィガロが、伯爵の密会相手がスザンナだ、と気がつく。

フィガロがショックを受けて一人でいると、マルチェリーナが現れる。話を聞いたマルチェリーナは、冷静に考えるようにフィガロを諭すが、フィガロはスザンナに怒って去って行く。

マルチェリーナ

私は、スザンナを信じるわ。

自分の利益に武装していない時は、情け知らずの男性たちによって不当に虐げられている、哀れな同性のために立ち上がるのよ。

マルチェリーナが去り、バルバリーナが現れる。ケルビーノと会うために小屋に入る。

フィガロ、バルトロ、音楽教師が現れる。フィガロが、スザンナと伯爵の密会を表沙汰にしようと、彼らを呼び出したのだ。フィガロは、彼らにそこにいるように言い、バルトロと音楽教師が残る。

音楽教師

権力のある者と戦っても、勝つのは彼らだ。

私も若い頃はフィガロと同じような情熱(権力者と戦う情熱)があったが、今はない。

あるとき、冷静な女が私にロバの皮をくれた。嵐(権力者とのトラブル)が来ても、ロバの皮(愚かなふり)で身を守れることを知った。悔しい思いをしても、身を守れれば御の字だ。

バルトロと音楽教師が去り、フィガロがひとり。スザンナの裏切りに苦悩している。

フィガロ

不注意な男たちよ、女に気をつけろ。
苦しめる魔女、おぼれさせる人魚、とげのあるバラ・・・
これ以上言う必要はないだろ?誰でもよく知っている。

フィガロが隠れると、スザンナ、伯爵夫人、マルチェリーナが現れる。スザンナと伯爵夫人は、服を取り替えており、すでにお互いの変装をしている。マルチェリーナがふたりに小声で話すように、と注意する。3人は小声で話し、マルチェリーナから、フィガロがスザンナの浮気を疑っていることが知らされる。マルチェリーナは、小屋(バルバリーナが入った小屋)に入り隠れる。伯爵夫人は「肌寒いわ」と言って、その場を離れる。庭にいるのは、スザンナだけ。(と隠れているフィガロ)

スザンナ

不届き者(フィガロ)がこちらを伺っているわ。
私を疑った報いを受けさせてやる!

(スザンナのアリア)
憧れの人(伯爵)の腕に抱かれるのね。とても楽しみよ。

「恋人よ、早くここへ」Giunse alfin il momento

隠れているフィガロは、スザンナの歌を聞いて怒る。

ケルビーノが現れる。そこにはひとりで別の場所にいた伯爵夫人(スザンナの変装をした夫人)が。ケルビーノは、暗がりで見えないが、帽子からスザンナだ、と判断して声を掛ける。

ケルビーノ

スザンナ。・・・なぜ返事をしないの?
(彼女をからかってやろう。)
僕は君がどうしてここにいるのか、知っているんだよ。

伯爵夫人は、ケルビーノを追い払おうとするが、なかなか離れてくれない。伯爵が遠くからやって来る。遠くからなので、伯爵夫人(スザンナの衣装を着た)とケルビーノ(若い男)のシルエットしかわからない。

伯爵

スザンナは、ここだな。・・・なぜ、彼女は男と会っているのだ?

スザンナとフィガロは、別々の場所にいるが、伯爵が来たことに気がつく。ケルビーノと伯爵夫人は押し問答中。

伯爵夫人

(スザンナのふりをして)
離れなさい。早く向こうに行ってちょうだい。

ケルビーノ

スザンナ、キスをしてよ。もうすぐ伯爵ができることを僕ができないなんて。

ケルビーノが夫人にキスしようとするのを、伯爵が間に入って、ケルビーノのキスを受ける。伯爵だと気がつき、ケルビーノは逃げ去る。残ったのは、伯爵と伯爵夫人(スザンナの服を着た)、それを別々の場所で見守る、フィガロとスザンナ。

伯爵

スザンナ、持参金の他に、ダイヤモンドの指輪を与えよう。

伯爵夫人

(スザンナのふりをして)
スザンナは保護者の方から、なんでもいただきますわ。

フィガロが、わざと音を立てて歩き存在を知らせる。伯爵が「誰だ?」と聞くと、フィガロが「人間様だよ」と怒った声を上げる。伯爵と伯爵夫人(スザンナの衣装を着た)は、別々に別れる。

その場には、フィガロとスザンナ(伯爵夫人の服を着た)がいる。

フィガロ

静かな夜だ。だが、浮気者たち(伯爵とスザンナ)を捕まえてやる。

おや、伯爵夫人。ちょうどよいところに。

スザンナ

(声色を変えるのを忘れて)

もっと小声でお話なさい。でも、復讐をしたいわね。

(私の浮気を疑ったフィガロを驚かしてやりたいわ。)

フィガロ

(スザンナの声だ!)

復讐ですって。

(彼女は、俺を驚かそうとしている、それなら俺も)

ひとつ方法がありますよ。伯爵夫人がお望みになるなら、このような場所ですから。私の心は燃え上がっておりますよ。(浮気しましょうよ)

スザンナがフィガロに平手打ち。フィガロは「声でスザンナだとわかる」と笑い、二人は仲直りをする。伯爵が通りかかる。フィガロとスザンナは、伯爵夫人のために、ひと芝居をする。

フィガロ

伯爵夫人、あなたは私の恋人です。

スザンナ

(伯爵夫人のふりをして)フィガロ、あなたの好きなように。

伯爵がふたりに対し「フィガロと私の妻が浮気を!!」と怒鳴り、スザンナは、小屋に逃げる。伯爵がフィガロを捕まえ、その場に屋敷中の人が集まってくる。

伯爵

武器を持って集まれ。フィガロが私を裏切り、辱めたのだ。

小屋から、ケルビーノ、バルバリーナ、マルチェリーナ、スザンナが出てくる。伯爵は、スザンナを伯爵夫人だと、まだ思っている。

伯爵

不実な女め。

スザンナ

(伯爵夫人のふりをして)お許しください。

皆がひざまずいて、伯爵に「お許しください」と言う中、小屋からスザンナの服を着た、伯爵夫人が出てくる。

伯爵夫人

私が、皆さんのためにお許しを得ましょう。

伯爵は、夫人の姿を見てすべてに気がつき、夫人に謝罪する。夫人は謝罪を受け入れ、全員が喜び合い幕が下りる。

実際にオペラ「フィガロの結婚」の舞台を観る

2021年、新国立劇場で公演。「フィガロの結婚」はぜひ観ておきたい作品です。値段の安いチケットはすぐに売り切れるので、お早めに。

【公式】新国立劇場オペラ「フィガロの結婚」の公演情報

「フィガロの結婚」のおすすめDVD

解説本ありのDVDなので、初心者でも簡単に楽しめます。

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