「フィガロの結婚」を簡単にみるコツ・見どころ

「フィガロの結婚」のわかりにくい部分を解説します。

込み入ってわかりにくい部分は、

  • フィガロの計画が失敗し、伯爵夫人の女たちの計画に変更
  • 登場人物の立ち位置が変わる
  • スザンナ、伯爵夫人の部屋で、2度かくれんぼが起こる

ここらへんかなと。おまけで隠れた見どころ、オペラ中に、よくぶたれるフィガロの部分を追加しました。

タップできる目次

フィガロの計画が、女たちの計画に変わる

1幕2幕  フィガロ(伯爵夫人、スザンナ)対 伯爵

フィガロの計画 スザンナが、伯爵を夜の庭に呼び出す

変装・・・女装したケルビーノが、スザンナになりすます

3幕4幕  スザンナ 伯爵夫人(マルチェリーナ)対 伯爵 フィガロ (ケルビーノ)

伯爵夫人の計画 スザンナが、伯爵を夜の庭に呼び出す
        フィガロには、秘密

変装・・・伯爵夫人がスザンナに変装、スザンナが伯爵夫人に変装

「フィガロの結婚」の中で起こる、キャラクターたちの変化

フィガロの結婚の説明図

フィガロ 平民

1,2、3幕では、自分の才覚を信じる男。

4幕では、夫人の計画から外されたので、フィガロは、女の不実を疑う側になります。(男側)

マルチェリーナ (フィガロの母)平民

1、2幕では、スザンナを敵視する、フィガロと結婚したがる女。(伯爵側)

3,4幕では、フィガロが自分の子とわかり、スザンナや伯爵夫人の味方になる。(女側)

音楽教師(バジリオ) 平民

1、2幕では、伯爵の味方であり、他人の動向を面白がる。(伯爵側)

4幕で、「私はフィガロのような権力者にたてつく情熱はない。ロバの皮をかぶり、身を守れればそれでよい」と言う。フィガロ側としてふるまう。(諦観)

バルトロ (フィガロの父)医師・平民

1、2幕では、フィガロに、ひと泡吹がせようとする男。(伯爵側)

3、4幕は、権力者に対しては、黙って堪え忍ぶこともあると言う。(バジリオと同じ)(諦観)

ケルビーノ 今は小姓をしているが、貴族。

1、2、3幕では、女性たちに可愛がられる男の子。

4幕では、スザンナ(変装した夫人)に対し「君が伯爵に何をしようとしているか知っている。僕もそれをやりたい」とキスをせがむ。(伯爵の行動をよしとして、のちに男側に行く予感)

それでは、変わらなかったのは?

勘のいい人は、気がついたのではないでしょうか。変わらなかった人がいると。

伯爵

最初から、最後まで敗北し続ける、伯爵。
フィガロだけでなく、スザンナやバルバリーナにもやられています。

伯爵夫人

伯爵の裏切りに気がついていても、愛を信じている、伯爵夫人。

スザンナ

最初から伯爵の企みに気がつき、機転を利かせ対応してきたスザンナ。

「フィガロの結婚」の主要な人物たちは、変わっていないのです。

ボーマルシェ「登場人物は、将来の世代も、似通っているだろう」

フィガロの結婚は、内容的に、普遍的な要素を持った作品です。

ボーマルシェ 「フィガロの結婚」の序文

私の作品の登場人物は、過去の世代の作品に似ているし、将来の世代の作品にも似通っているだろう。

原作者ボーマルシェや、ダ・ポンテ、モーツァルトが「フィガロの結婚」を通して言いたかったことは、マルチェリーナとバジリオが、言っていたことに尽きます。

マルチェリーナ

私は、スザンナを信じるわ。

自分の利益に武装していない時は、情け知らずの男性たちによって不当に虐げられている、哀れな同性のために立ち上がるのよ。

音楽教師(バジリオ)

権力のある者と戦っても、勝つのは彼らだ。

私も若い頃はフィガロと同じような情熱(権力者と戦う情熱)があったが、今はない。

あるとき、冷静な女が私にロバの皮をくれた。嵐(権力者とのトラブル)が来ても、ロバの皮(愚かなふり)で身を守れることを知った。悔しい思いをしても、身を守れれば御の字だ。

上のふたつのことを、作品として世に出すために、伯爵や伯爵夫人、スザンナという、登場人物を用意し、脇役である彼らに重要な言葉を言わせたのでしょう。

ボーマルシェの言った「将来の世代」である私が見ても、確かに「フィガロの結婚」の中に、現代でも変わらない要素を見つけることができました。

「フィガロの結婚」に出てくる、かくれんぼ、ふたつ

かくれんぼ その1 スザンナの部屋にて

伯爵がフィガロとスザンナに用意した部屋には、まだ中央に椅子がひとつしかありません。

スザンナが部屋に一人でいるところに、小姓のケルビーノが訪問。

伯爵の訪問。→ 隠れる人、ケルビーノ

音楽教師の訪問。→ 隠れる人 ケルビーノ、伯爵

音楽教師が「ケルビーノが伯爵夫人に色目を使っているという噂話」をしたため、隠れていた伯爵が怒って出てくる。伯爵が椅子の布をめくり、ケルビーノが見つかる。

かくれんぼ その2 伯爵夫人の部屋にて

フィガロが、伯爵を出し抜く計画を立てます。

フィガロの計画

夫人の不倫をにおわす手紙を、音楽教師を通し、伯爵に届ける
・スザンナが伯爵を夜の庭に呼び出す。 スザンナの代わりに、女装したケルビーノがいく。

伯爵夫人の部屋で、ケルビーノを女装させることに。

ポイントは、伯爵夫人の部屋は、主な扉、女中用の扉、衣装部屋の扉があり、ひとつの窓があることです。衣装部屋は、内側から鍵を開け閉めできます。

伯爵夫人とスザンナで、ケルビーノを女装させる。スザンナが用事で夫人の部屋を出る。

残ったのは、夫人とケルビーノ。

(フィガロが書いた)不倫をにおわす手紙を見た、伯爵が部屋に来る。→ 隠れる人 ケルビーノ(衣装部屋)

「衣装部屋にいるのは誰だ?」伯爵と夫人の問答。→ 隠れる人 ケルビーノ(衣装部屋)スザンナ(女中の扉から、こっそり部屋に入る)

部屋中の扉の鍵を閉め、ふたりが部屋を出る。→ ケルビーノは衣装部屋から出て、窓から飛び降りる。隠れる人 スザンナ(衣装部屋)

戻ってきた伯爵夫妻。夫人が中に「衣装部屋にはケルビーノがいる」と言い、伯爵が激怒して扉を開けると、中にいたのは、スザンナ。

【おまけ・隠れた見どころ】よくぶたれるフィガロ

重要ではないですが、面白い部分なので。

スザンナに誤解されて、一発

3幕・1発

フィガロが実の息子とわかり、抱き合って喜ぶ、マルチェリーナとフィガロ(とバルトロ)。遅れてその場に来たスザンナは、ふたりが結婚したと勘違いして怒る。

フィガロ

話を聞いてくれ。

スザンナ

これでも、お聞き!
(フィガロに平手打ち)

フィガロ、マルチェリーナ、バルトロは「良い心がけ。愛情がそうさせるんだな。」と褒める。

暗闇でケルビーノと間違えられて、一発

4幕・1発

夜の庭。庭にいるのは、スザンナ(実は伯爵夫人)とケルビーノ。遠くからやってくる伯爵。それを別々の場所で隠れて見ている、伯爵夫人(実はスザンナ)とフィガロ。

伯爵は、スザンナと逢い引きをする予定で訪れるが、暗くてよく見えない。スザンナ(実は伯爵夫人)が、若い男(ケルビーノ)にキスされそうになるのを止めようと、間に入りケルビーノのキスを伯爵が受けてしまう。

ケルビーノは、早々と逃げ出し、隠れてみていたフィガロが、もっと近くで見ようと近づいたところに。

伯爵

二度とやらないように、これでもくらえ!

(暗闇なので、気配でフィガロを平手打ち。)

フィガロ

(好奇心のせいで、ひどいめにあったよ)

スザンナ

(隠れて見ていた、スザンナは笑う。)

スザンナから、ぶたれまくる

4幕・多数

伯爵とスザンナ(実は伯爵夫人)の逢い引きを見て、怒るフィガロ。そこに、伯爵夫人(実はスザンナ)が声を掛ける。

フィガロ

静かな夜だ。だが、浮気者たち(伯爵とスザンナ←変装した夫人)を捕まえてやる。

おや、伯爵夫人。ちょうどよいところに。

スザンナ

(声色を変えるのを忘れて)

もっと小声でお話なさい。でも、復讐をしたいわね。

(私の浮気を疑ったフィガロを驚かしてやりたいわ。)

フィガロ

(スザンナの声だ!)

復讐ですって。

(彼女は、俺を驚かそうとしている、それなら俺も)

ひとつ方法がありますよ。伯爵夫人がお望みになるなら、このような場所ですから。私の心は燃え上がっておりますよ。(浮気しましょうよ)

さあ、私の手を取ってください。

スザンナ

さあ、これをどうぞ。(平手打ち)

フィガロ

なんと、平手打ちか。

スザンナ

平手打ちよ。これも、これも、それからもうひとつ。

フィガロ

そんなに早くぶたないでくれ。

スザンナ

悪い人ね。これも、それからもうひとつ。

フィガロが「ありがたい平手打ち、声でわかったよ。憧れの声、心にいつもある声だよ。」と言って、仲直り。

フィガロ、何回ぶたれたんや・・・。スザンナとフィガロがいるから、フィガロの結婚は面白いのです。

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