【魔弾の射手】のあらすじ・ウェーバー

魔弾の射手

「魔弾の射手」は、ドイツ・ロマン派を代表するオペラ

この作品によって、アリア中心のイタリアオペラが主流だった時代に、ロマン派のドイツオペラを確立しました。

「魔弾の射手」は、ドイツ語作品、ドイツ、ボヘミアの森が舞台ドイツ民謡の旋律を取り入れたりと、ドイツの文化や世界観が詰まったオペラになっています。

ワーグナーが幼い頃に見たオペラであり、道を踏み外す猟師マックスが、恋人アガーテの純愛によって、救われる(男が女の純愛に寄って救われる)というパターンは、ワーグナー作品へ影響しています。

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オペラ「魔弾の射手」の簡単なあらすじ

マックスは凄腕の猟師だったのに、ここ数週間、腕が鈍っている。明日には、恋人アガーテとの結婚をかけて、侯爵に狩猟の腕前を見せないといけない。

同僚の猟師、カスパールが、マックスに「必ず当たる弾があるぞ。不気味な谷にいけば、手に入るよ。」と言う。その谷は、地獄の門とも言われている。マックスは悩んだ末、魔弾を得るため、不気味な谷に行く。カスパールは、自分の利益のために、マックスを罠にはめるつもりだった。

侯爵に狩猟の腕前を見せる当日。マックスは魔弾を使い、射撃が絶好調。侯爵に指定された獲物は白い鳩。マックスが鳩をめがけて撃つと、鳩は逃げ、恋人アガーテと同僚カスパールが同時に倒れた。アガーテは、信心深い森の隠者によって命を守られ、カスパールは死んだ。

不可思議な出来事に、侯爵はマックスに話しを聞く。魔弾を使ったことが明るみに。マックスは領地からの追放を言い渡されるが、森の隠者によって仲裁され、マックスとアガーテは1年後に結婚することを認められた。

相関図と登場人物(マックス・アガーテ・カスパール)

魔弾の射手 相関図
マックス猟師テノール
アガーテ森林保護管の娘ソプラノ
カスパール猟師バス

基本情報(作曲ウェーバー・ドイツ語)

Der Freischütz 魔弾の射手

  • 作曲 ウェーバー
  • 初演 1821年6月18日 ベルリン王立劇場
  • 原作 ヨハン・アウグスト・アペル「怪談集」
  • 台本 フリードリヒ・キント ドイツ語

魔弾の射手第1幕・マックスがカスパールの罠に落ちる

ボヘミアの森の中、酒場の前

射撃の試合が行われている。対戦は、猟師のマックスと農夫の男だ。あたりは、騒がしい音楽と、酒を片手に試合を見ている人々でいっぱいだ。

マックス

これは、まぐれ当たりだ!農夫の野郎!(どうして、実力が出せないのか?!)

試合の結果は、マックスの負けだ。農夫は、「俺こそ、射撃王!猟師が農夫に負けるとは、とんだ下手くそだな。」と笑った。農夫とマックスは、取っ組み合いになり、周りが止めに入る。

猟師のマックスの同僚たちと共に、森林保護管(マックスの恋人、アガーテの父)が現れて、「何事か?」とたずねる。農夫は、「農夫の私が、射撃で猟師に勝ってしまって・・・マックスに聞いてください。」と言う。

マックス

なぜか、一発も当たらないんです。

森林保護管(アガーテの父)

どういうことか?お前は一番の腕なのに。4週間も手柄がなしじゃないか。

猟師の仲間のひとり、カスパールが、ふざけてる風に軽い調子で言う。

カスパール

俺の言ったとおりだろ。お前は神に呪われているのさ。どうだい、魔物と契約してみないか?

森林保護管は、カスパールを一喝して黙らせる。

森林保護管(アガーテの父)

マックス、お前を息子のように思っている。

だが、明日の射撃大会は、森林保護管の世襲権利をかけたものだ。もし失敗すれば、お前に娘をやれなくなるぞ。

明日行われるのは滅多にない射撃大会なので、周囲の人々が興味津々。「なぜ、世襲権利をかけた射撃大会が行われるようになったのか?」と聞く人がいた。

森林保護管(アガーテの父)

我が家のご先祖様の話だ。

鹿に鎖で縛り付けられた人間を発見した。昔は密猟者への罰としてやっていたのだ。

気の毒に思った侯爵様は、「人間を傷つけずに鹿を射止めれば、その人物に世襲の森林保護管の権利を与える」とした。

ご先祖様は、成功し、一発で鹿を仕留めた。

だが、悪意のある者が、「鹿をうまく仕留めたのは、魔法の仕業だ。魔弾を使った」と言い出した。

農夫

魔弾ですって。昔、聞いたことがある。
6発は命中して、7発目は、悪魔がどこに飛ぶか決める、とね。

森林保護管(アガーテの父)

よからぬ噂が出たので、侯爵様は、

世襲の代が変わるたびに、射撃試合をすること。
一発で獲物を仕留めれば、男が選んだ娘と結婚出来る。」とした。

さあ、マックス、明日はしっかりやるんだぞ。

森林保護管と、猟師のカスパールは、その場から帰って行く。

居酒屋前の喧噪から離れて、ひとりでいるマックス。明日のことを考えると、絶望しかない。マックスの後ろには、不気味な男(悪魔ザミエル)が立っている。

猟師のカスパールが戻ってきて、マックスに声をかける。

カスパール

お前を助けるアイデアを見つけたぞ。しょぼくれて何やってんだ、もっと強い酒を飲めよ。

カスパールは軽薄な男。マックスは、アガーテの忠告「カスパールには関わるな」を思い出して、帰ろうとする。(アガーテは、森林保護管の娘で、マックスの恋人。)カルパールとマックスのやりとりを、不気味な男(悪魔ザミエル)が見ている。

カスパール

待て。俺は、いい話をもっている。自然界の神による、無害な力さ。俺の銃で、あの鳥を撃ってみろ。

あたりは暗く、鳥は遙か遠くを飛んでいる。マックスは、「あれは無理だ」と言うが、促されて空を飛ぶ鳥を撃つ。

マックス

どうしてこんなことが?理由を言わないと、ぶっ飛ばすぞ。

カスパールは、銃ではなく、弾のおかげだと言い、そして、あの弾は最後の弾だった、と言う。

カスパール

あれは、最後の弾だが、12時に、狼谷に取りに行けばいいだけさ。友達だから、俺も一緒に行ってやるよ。

マックスは、最初は「あのような恐ろしい場所にはいけない」と断るが、アガーテとの結婚を考えると、狼谷に行くことに決めた。マックスは、狼谷に行く前に、アガーテに会うため帰っていく。

一人残った、カスパールは高笑いが止まらない。「マックスを地獄の罠にはめてやった!!!」

魔弾の射手第2幕・マックス、悪魔ザミエルと取引

第1場 アガーテは、マックスを心配している

アガーテの部屋

森林保護管の娘、アガーテいとこのエンヒェンは、ご先祖様の肖像画を壁にかけ直している。肖像画が落ちてきて、アガーテは、頭に軽い怪我をしていた。

ご先祖様 ・・・ 森林保護管の世襲が始まった、最初の人(鹿を一発で仕留めた)

エンヒェンは、明るい性格のようで気楽に振る舞い、アガーテはマックスのことを心配している。

エンヒェン(アガーテのいとこ)

肖像画が落ちてきて不気味だけど、気にしないのよ。生きている人間が強いのだから!

すらしたとしたイケメンがやってきたら、恋の予感。ちらりとみたら、男も気がつくわ。あっという間に、私は可愛い花嫁さん。

「エンヘェンのアリエッタ」Kommt ein schlanker Bursch gegangen

アガーテ

そうね、私も一緒に歌うわ。

エンヒェン(アガーテのいとこ)

そういえばあなた、森の隠者に、清めの白バラをもらったじゃない?詳しい話を聞いていないわ。

アガーテ

清めの白バラは、私によからぬことが起こるから、と渡されたものなの。警告通りになったわ。絵が落ちてきて、頭を怪我するなんて。

このバラは、私にとって大切よ。大事にしないと。

エンヘェンは、「もう、寝ましょうよ。」と言って部屋を出て行くが、アガーテは、部屋で一人待っている。

アガーテ

なんて素敵な夜空。マックスはまだかしら。
でも、遠くの森は不気味だわ。黒い雲が立ちこめている・・・

「アガーテの祈り」Wie nahte mir der Schlummer

マックスが慌ただしく、アガーテの部屋に入ってくる。

マックス

アガーテ。ごめん。ちょっと寄っただけなんだ。
今日は、獲物が捕れたよ。ほら、この羽をみてみろ。

あれ?その怪我は、どうしたんだい?

アガーテ

なんでもないのよ。

エンヒェン(アガーテのいとこ)

ご先祖様の肖像画が落ちてきたのよ。7時頃に窓のそばであなたを待っていたから

マックス

(不思議だ。7時だって。俺が獲物を撃った時間だ・・・

これから、狼谷に置いてきた獲物を取りに戻らないと。他の者に盗まれるからね。

アガーテ

狼谷?!あんな恐ろしいところに?
心配だけど、あなたに任せるしかないわ。私の忠告を忘れないで。

アガーテの忠告 ・・・ カスパールに関わるな

マックスは、部屋から慌ただしく、去る。

第2場 「狼谷の場」マックス、魔弾を手に入れる

狼谷、森の深い谷

不気味な森の中、カスパールがひとりで声を上げ、ある人物を呼び出している。悪魔ザミエルが現れる。

カスパール

新しい捧げ物があります。猟師仲間を連れてきます。
彼の願いは、魔弾。

悪魔ザミエル

魔弾。6発命中。7発目は、いかさまだ。

カスパール

7発目は、マックスの花嫁に当てて欲しい。

悪魔ザミエル

7発目が当たるのは、お前か、マックスだ。

カスパールと悪魔ザミエルの密談が終わる。マックスがやってくる。マックスは、森の不気味な様子にたじろいでいる。亡き母の亡霊がマックスを止めようとするが、悪魔ザミエルがアガーテの亡霊を見せて、狼谷を降りていく。

カスパールが、不気味な炎の中に、魔弾の材料を入れて、祈りを捧げる。マックスはそばで見ている。7発の魔弾を作って、カスパールは卒倒する。悪魔ザミエルが現れ、マックスの腕をつかむ。マックスが十字をきると、悪魔ザミエルは消えた。

魔弾の射手第3幕・カスパールの死、数年後にふたりは結婚

第1場 射撃大会の当日、マックスの残りの魔弾は一発

森の中、射撃大会

昨夜作った魔弾の7発は、マックスが4発、カスパールが3発と分けていた。

射撃大会で、マックスはすでに3発使って残り1発、カスパールも残り1発。マックスが、カスパールに残りの弾をくれというが、カスパールは断る。

カスパールは最後の1発を撃ち終えて、にやりとした。

マックスは、侯爵の前で、あの弾をつかうようだ。

あいつがもっている、最後の1発は悪魔の弾。綺麗な花嫁に当たればいい。

第2場 花嫁衣装のアガーテ、悪い予感に困惑

アガーテの部屋

アガーテは、花嫁衣装を身につけているにもかかわらず、夢見が悪かったために、憂鬱である。

アガーテ

たとえ雲が太陽を覆っても、空に太陽は存在するのよ。すべてのことに神の意志があり、愛で見守っていているでしょう。

「雲が太陽を覆っても」Und ob die Wolke sie verhülle

エンヒェンが現れる。

アガーテ

不思議な夢を見たの。
私は白い鳩となっていて、木の枝に止まっていた。

マックスが白い鳩に狙いを定めて、撃ち落とした。白い鳩は消えて、私が血まみれに・・・

エンヒェンは、明るく振る舞って、アガーテの気を紛らわせようとする。「私は、花嫁の花冠をとってくるわ」とエンヒェンは、出て行く。

エンヒェンが、花冠の入った箱を持って戻ってくる。

エンヒェン(アガーテのいとこ)

ここに来るまでの途中、またご先祖様の肖像画が、壁から落ちていたのよ。足を引っかけてこけそうになったわ。

アガーテはその話しを聞き、恐れおののく。花冠が入った箱を開けると、アガーテが、叫び声を上げる。箱の中は、花冠のはずが、死者の冠だった。

エンヒェン(アガーテのいとこ)

どうして?・・・売った人が間違えたのね。捨ててしまいましょう。
花冠をどうしようかな。

アガーテ

森の隠者にもらった、清めの白バラで花冠を作りましょう。

これは、お導きかもしれないわ。バラをもらったとき、これで花嫁の花冠を作りなさい、と言われたの。

第3場 悪魔が決める魔弾の行方

森の中、射撃大会

侯爵の狩りのテントの中で、身分の高い人々と狩人たちが宴会を開いている。

猟師たちが、狩りを称える歌を歌う。「狩人の合唱」

狩人たち

この世で狩りほど楽しいものはない。山を駆けて、獲物を追う。これこそ、王の喜び、男の欲望だな。体を動かし働いて、食事を楽しもう。


「狩人の合唱」Was gleicht wohl auf Erden dem Jägervergnügen

侯爵は、森林保護管(アガーテの父)に「お前の婿を気に入ったぞ。すばらしい射撃の腕前だ。」とご満悦。

侯爵

マックス、1発であの木に止まっている白い鳩を撃ってくれ。

マックスが、白い鳩に狙いを定める。

アガーテ

撃たないで、その白い鳩は、私よ。

突然、アガーテが叫び声と共に現れて、白い鳩のいる木に走り寄る。白い鳩は別の木に移った。その別の木からカスパールが降りてくる。発砲音と共に、白い鳩は飛び去った。アガーテとカスパールのふたりが、叫び声を上げて倒れる。

騒然となって、「アガーテが死んだのか、カスパールが死んだのか」どちらかわからない。どちらにも人々が駆け寄っていく。アガーテが目覚める。カスパールは血まみれだ。

カスパール

彼女には、森の老人がついていた。俺は破滅だ。天に呪いを!

カスパールにしか見えないが、悪魔ザミエルが現れ、カスパールは死亡。侯爵は、狼谷に遺体を捨てるように言う。そして、不可思議な出来事に対して、マックスに説明を求めた。

マックス

今日使った、4つの弾は魔弾でした。あいつと一緒に作ったものです

侯爵は、「自分の領地からでていけ」と命令する。アガーテ、森林保護管のアガーテ父、猟師仲間たちが「彼は真面目で誠実な男だから」と止めに入る。

森の隠者が現れる。

森の隠者

たった一度の過ちで、追放は酷である。
一年の猶予の後、二人の結婚を認めてはどうだろう。
また、恋人たちの心を試すような、一発の射撃試合はやめなさい。

侯爵は、森の隠者の判断を受け入れた。人々は、侯爵を讃え、神に感謝する。

実際に「魔弾の射手」の舞台を観るなら

あまり日本で上演されないので、機会があれば観ましょう。

【公式】東京二期会オペラ「魔弾の射手」の公演情報

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2015年、ドレスデン国立歌劇場。指揮は、ティーレマン。

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