アンドレア・シェニエ【五月の美しい日のように】歌詞と対訳|Come un bel dì di maggio

アンドレア・シェニエ 第4幕

サン・ラザール監獄に収監された、アンドレア・シェニエ。監獄を訪れてくれた友人ルーシェに、シェニエは自分の死を覚悟して最後の詩を読みます。詩人らしい、最後のアリア「五月の美しい日のように」です。

実在の詩人アンドレ(フランス語読み)・シェニエの最後の詩「最後の光線のように」Comme un dernier rayonを取り入れた内容になっています。

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「五月の美しい日のように」Come un bel dì di maggio【歌詞と対訳】

Come un bel dì di maggio
che con bacio di vento
e carezza di raggio

si spegne in firmamento,
col bacio io d’una rima,
carezza di poesia,
salgo l’estrema cima
dell’esistenza mia.

La sfera che cammina
per ogni umana sorte
ecco già mi avvicina
all’ora della morte,
e forse pria che l’ultima
mia strofe sia finita,
m’annuncerà il carnefice
la fine della vita.

Sia! Strofe, ultima Dea!
ancor dona al tuo poeta
la sfolgorante idea,
la fiamma consueta;
io, a te, mentre tu vivida
a me sgorghi dal cuore,
darò per rima il gelido
spiro d’un uom che muore.

アンドレア・シェニエ

五月の美しい日のように
風のくちづけと
光線の愛撫で

大空へと消えていく
韻を踏むようなくちづけと
詩の愛撫を受けて
(生涯の)極限まで昇る
私の生涯の

(運命のために)動く針は、
すべての人間の運命のために
すでに私に(死の間際まで)近づいている
死の間際まで
そして、おそらく
私の最後の詩が終わる前に
死刑執行人が告げるだろう
命の終わりを

あるがままに!詩よ、最後の女神!
もう一度あなたの詩人に与えてくれ
まばゆいひらめきを
いつもの炎のように
私は、あなたが生き生きと
私の心からわき上がる間に
あなたに韻で捧げよう、氷のような
瀕死の者の凍り付く吐息を

【解説】実在のアンドレ・シェニエが牢獄で書いた詩

実在の人物、アンドレ(フランス語読み)・シェニエが、サン・ラザール監獄で書いた最後の詩「最後の光線のように」Comme un dernier rayonを取り入れた内容になっています。

「五月の美しい日のように」とリンクしている部分だけ抜粋しました。

オペラと実際の詩との共通点は、以下の二つ。

  • 光線と風の美しい日を想像して詩を書いた
  • 最後の詩を書き終える前に死の宣告が来ることをシェニエが予想している

「最後の光線のように」Comme un dernier rayon【詩と対訳】

Comme un dernier rayon, comme un dernier zéphire
Anime la fin d’un beau jour,
Au pied de l’échafaud j’essaye encor ma lyre.
Peut-être est-ce bientôt mon tour.
Peut-être avant que l’heure en cercle promenée
Ait posé sur l’émail brillant,
Dans les soixante pas où sa route est bornée,
Son pied sonore et vigilant,
Le sommeil du tombeau pressera ma paupière !
Avant que de ses deux moitiés
Ce vers que je commence ait atteint la dernière,
Peut-être en ces murs effrayés
Le messager de mort, noir recruteur des ombres,
Escorté d’infâmes soldats,
Ébranlant de mon nom ces longs corridors sombres,
Où seul, dans la foule à grands pas
J’erre, aiguisant ces dards persécuteurs du crime,
Du juste trop faibles soutiens,
Sur mes lèvres soudain va suspendre la rime ;
Et chargeant mes bras de liens,
Me traîner, amassant en foule à mon passage
Mes tristes compagnons reclus,
Qui me connaissaient tous avant l’affreux message,
Mais qui ne me connaissent plus.

最後の光線のような、最後の春風のような
美しい一日の終わりを想像し、
死刑台のたもとで、私はまだ詩作を試みる
もうすぐ私の番が来る
おそらく決行の時が動き出し
輝くエナメルを敷き詰めた
その道で結ばれている60歩の間に
警戒心の強い足音が響き
墓場の眠りが私のまぶたを圧迫する
この詩が二番目に入り、
私が始めた詩は、最後まで到達する前に
おそらくこの恐ろしい壁の中で
死の使者、影の黒い案内人
悪名高い兵士たちを連れて
長くて暗い廊下を私の名前で揺さぶる
どこからか、群衆の中を大きな足取りの音
私は戸惑う、犯罪のような迫害の針を研ぎ澄まし
あまりにも弱々しい心持でいる
突然、私は韻を踏むのをやめる
私の腕は拘束され
私は引きずられ、通路を通るときに群がる
私の悲しい監獄生活の仲間たちが
恐ろしい宣告の前には、誰もが私を知っていた
だが、もう誰も私を知らない

辞世の詩なので、オペラの「五月の美しい日のように」よりも重めの内容になっています。この後も詩は続き、怒りと悲しみに満ちた苦悩の詩です。

オペラと比較すると、風の表現が詩人っぽいなと思いました。

辞世の詩では
zéphire・・・ギリシャ神話の西風の神、穏やかな風、春の訪れを告げる風

オペラでは
vento・・・風

ちなみに、実在のシェニエが獄中で出会ったエメ・ド・コワニー(フルーリー公爵夫人)が、マッダレーナのモデルです。彼女に触発されて、シェニエは獄中で詩を書き続けました。シェニエがコワニーについて書いた詩は、La jeune captive(若い捕虜)です。

シェニエは処刑されましたが、コワニーは恐怖政治を強いていたロベスピエールの死(処刑)により助かります。シェニエの死から3日後にロベスピエールが処刑されたので、もう少しタイミングが違えばシェニエも助かっていたのでは、と思います。

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