【カルメン】のあらすじ・ビゼー

カルメン

「カルメン」は、偉人の大絶賛率が高い、オペラです。
ニーチェ、ドビュッシー、サン=サーンス、チャイコフスキーに、絶賛されています。

その中でも、チャイコフスキーが言った「カルメンは地球上で、最も有名なオペラになるだろう。」は、まさにその通りになっていますね。

カルメンの音楽は、テレビで使われることが多く、どこかで聴いたことのあるメロディがオペラ中に登場します。

主要な人物たちの心の声はこんな感じです。

カルメン・・・誰にも束縛されないわ!ドン・ホセ!今はあんたが好きよ。

ドン・ホセ・・・カルメンは、魔女のような女だ。だが、愛してしまった。

エスカミーリョ・・・カルメン。君は魅力的だ。希望を捨てずに、待つとしよう。

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ビゼーのオペラ「カルメン」の簡単なあらすじ

カルメンがホセを誘惑 → 闘牛士とカルメンが出会う → カルメンとホセは恋人に → ホセの嫉妬深さで破局寸前 → 闘牛士とホセが決闘騒ぎ → ホセが母の病気で帰郷 → カルメンと闘牛士は恋仲 → ホセが現れ、カルメンを殺す

自由な女、カルメンは、自分に気のないそぶりの衛兵の伍長、ドン・ホセに気まぐれで花を投げつける。工場内のけんかで、ホセはカルメンを捕まえる。カルメンはホセを誘惑して逃げ出し、ホセはカルメンの代わりに牢に入ることに。

1ヶ月後、カルメンは居酒屋でホセを待っている。闘牛士、エスカミーリョが立ち寄る。カルメンに恋をするが、立ち去る。ホセがカルメンに会いに来る。ホセの熱烈な愛の歌。ホセは、居合わせた中尉といざこざがあり、軍を離れて、カルメンの密輸団の仲間に。

数ヶ月後、密輸団のあじと。ホセの嫉妬深さで、ふたりはすでに不仲になっている。闘牛士が来訪。ホセと闘牛士の決闘騒ぎ。ホセは、母の病気の知らせにより、帰郷する。

カルメンと闘牛士は、恋仲に。ホセが現れ、カルメンを殺す。

相関図と登場人物(カルメン、ドン・ホセ、エスカミーリョ)

カルメン 相関図
カルメンジプシー女メゾソプラノ
ドン・ホセ衛兵の伍長テノール
エスカミーリョ闘牛士バリトン

基本情報(作曲ビゼー・フランス語)

Carmen カルメン

  • 作曲 ビゼー
  • 初演 1875年3月3日 パリ オペラ・コミック座
  • 原作 プロスペル・メリメ「カルメン」
  • 台本 リュドヴィク・アレヴィ、アンリ・メイヤック フランス語

【解説】「カルメン」の時代背景・地図

カルメン 地図

オペラ「カルメン」の舞台は、セビリャ

セビリャは、スペインの大航海時代(15世紀半ば~17世紀半ば)の拠点となった町です。8世紀にイスラム勢力に支配されたことがあり、ヨーロッパ文化とイスラム文化が混じり合う、独特の町。

カルメンの時代設定は、19世紀初めのセビリャ。大航海時代に栄華を誇った町も、今は昔といったところ。

ホセの出身地は、ナバラ王国

ホセの出身地は、ナバラ王国だった地域。オペラの中で、ホセは「ナバラの生まれ」であることをよく言います。

ドン・ホセ

僕は、ナバラ生まれだ。ナバラの人間は嘘をつかない。

  • 公式に、ナバラ王国がスペイン王国に併合されたのは、1833年
  • メリメの小説「カルメン」の発表は、1845年
  • オペラ「カルメン」の初演年は、1875年

オペラや小説の時点では、ナバラ王国の併合はつい最近の出来事でした。国がなくなったとしてもドン・ホセは「自分は、ナバラの人間だ」という思いが強かったのでしょう。

カルメン第1幕 カルメン、ホセを誘惑

セビリャの煙草工場前の広場

衛兵たちがたむろする中、ホセの幼なじみ、ミカエラが訪ねてくる。

ミカエラ

すみません。ドン・ホセはいますか?

兵士たちに「もうすぐ来るはず」と言われるが、「出直す」と言い去って行く。伍長のドン・ホセがやってくる。

兵士

お前を訪ねて、女の子がやってきたぞ。

ドン・ホセ

女の子・・・ミカエラだな。

中尉がやってきて、ホセと立ち話を始める。

中尉

おい、ホセ。私は連隊に着任したばかりで、このあたりのことは知らない。この大きな建物は何だ?

ドン・ホセ

煙草工場です。中には、葉巻を巻く女工たちが大勢。

昼になると、この広場に出てきます。女工たちを見るために男が集まりますよ。・・・ガラが悪い女ばかりなので、僕は興味ないですけど。

中尉

ああ、君にはさきほど訪ねてきた女の子がいるからな。彼女は、ナバラの衣装を着ていたそうだな。君は、ナバラの出身か?

ドン・ホセ

他の兵士に聞いたのですね。

そうです。ナバラ出身です。けんか騒ぎを村で起こして、ナバラから離れて軍に入りました。

父は早くに死に、母は孤児の女の子を引き取り育てたのです。それが先ほどの女の子です。彼女は、うちの母親から離れようとしないし、もうすぐ17になりますので・・・

中尉

それなら、君は他の女を見ることはできないな。

工場の昼休みの時間になった。くわえ煙草をして女工たちが工場から出てくる。兵士や男たちが、その様子を見ている。

男たち

カルメンがいないぞ。

来た!来た!カルメンだ!!

カルメン、いつになったら、俺たちを好きになってくれるのか?

女工たちの中で目立つ女、カルメン。

カルメン

いつになったら、好きになるか、ですって?
そんなのわかりゃしないわ。

恋は野の鳥なのよ。飼い慣らすことなんてできないわ。

「ハバネラ」(「恋は野の鳥」)L’amour est un oiseau rebelle

たくさんの男たちがカルメンに色目を使う中、気のないそぶりのドン・ホセに気がついたカルメン。

カルメン

あんた、何してんのよ?

ドン・ホセ

針金で鎖を作っているのさ。

カルメン

あはは!それで私の魂を突き刺すつもりなの?

カルメンは、彼に向かって花を投げつける。鼻歌を歌いながら、工場に入っていく。

ドン・ホセ

なんだ。あの女。僕が彼女に目もくれないから、あんなことをしたんだな。猫と女は呼んでも来ないっていうもんな。

うまく投げたな。眉間に当たったぞ。(花を拾う)

キツイ香りの花だ。魔女がいるなら、ああいう女だろう。

ホセの幼なじみ、ミカエラが再び、訪問。

ミカエラ

伍長さん!村から来たの。お母さんの使いで。

ドン・ホセ

ミカエラ!(花を隠す)

ミカエラ

あなたのお母さんからの手紙よ。それとお母さんからのキス。(ホセにキス)

ドン・ホセ

母さんに会いたいな。故郷に帰りたい。

(煙草工場をにらんで)
危うく、悪魔に引っかかるところだった。母さんが守ってくれたんだ。

僕からも母さんにキスを返してくれ。(ミカエラにキス)さあ、手紙を読もうかな。

ミカエラ

待って。その手紙は、私がいなくなってから読んでちょうだい。手紙の返事は、あとで聞きに来るわ。

ミカエラは去って行く。ホセは、母からの手紙を読む。

ドン・ホセ

(母からの手紙)
「ミカエラはいい子だよ。お前がよければ、あの子を嫁にもらってくれ。」

そうだな。母さんの言う通りにしよう。ミカエラを嫁にするんだ。ジプシー女(カルメン)なんか目じゃないさ。

ホセが花を捨てようとしたとき、煙草工場内で、騒動が起こる。女工たちが広場に出てきて、兵士たちに仲裁を求めている。「カルメンと女工が、大げんかをしている」と言う。

中尉

ホセ、煙草工場に行って様子を見てこい。

ホセが様子を見に行って、戻ってくる。

ドン・ホセ

カルメンが、けんか相手の女工の顔に十字の傷を負わせていました。相手の傷は浅いので、軽症のようですが・・・

すべて事実です。ナバラの人間は嘘をつかない!!

中尉

カルメン、何か言い分はあるか?

カルメン

(返事をせずに、歌い出す
切られても、焼かれても、何も言わないよ。神様だって怖くないさ。

中尉

生意気な。ホセ、この女を縄で縛れ。牢屋に入れてやる。牢屋の中で歌えばいいさ。

私は命令書を書いてくる。ホセは女を連行しろ。

中尉は立ち去る。ホセとカルメンがふたりきりになる。ホセはカルメンを見ないようにし、カルメンはホセをじっと見つめる。

カルメン

逃がしてよ。私はあんたの同郷よ。ジプシーに誘拐されてここにいるの。同じ故郷の女に優しくしないの?

ドン・ホセ

嘘をつくな。君はジプシーそのものだ。

カルメン

ばれたか。でも、あんたは私を逃がすわ。だって、私を好きなんだもの。私が投げた花を持っているでしょ。

ドン・ホセ

何を言っているんだ。もう話しかけるな。

牢入りを逃れるために、カルメンは、ホセを誘惑し始める。

カルメン

セビリャの城壁近くに、酒場があるわ。そこで踊って飲んで騒ぐのよ。でも、ひとりじゃつまらない。新しい恋人が欲しいわ。

「セギディーリャ」(「セビリャの城壁の近くに」)Près des remparts de Séville

カルメン

私は考えているの。私を愛してくれるひとのことを。彼が愛してくれるなら、私も愛するかも!

ホセは誘惑に負け、カルメンを縛った縄をゆるめる。

ドン・ホセ

カルメン。もし僕がいいなりになったら、その約束を守るのか?僕が愛したら、愛してくれるのか?

カルメン

(ホセにささやくように、歌い出す)
セビリャの城壁近くに、酒場があるわ。・・・

中尉が命令書を持って戻ってきた。カルメンは縛られていふりをしている。カルメンは兵士たちに連行される。

カルメン

(ホセに小声で)
途中で、あんたを突き飛ばして逃げるわ。うまく倒れて。

ホセを突き飛ばし、カルメンは逃げ去る。

舞台上で表現されないが、ホセは、カルメンを逃亡させた罪で、牢に入ることになってしまう。

カルメン第2幕 カルメンとホセは、恋人に

セビリャ、町外れの酒場

酒場では夕食が終わり、テーブルがちらかっている。兵士たちとジプシー女たちが楽しそうにしている。その奥では、ジプシーの男たちがギターを演奏。

カルメン

ギターが鳴れば、ジプシーの女が立ち上がる。音楽に合わせ、踊るわ。ジプシーの男が力強く演奏すれば、女たちは激しく踊る!

「ジプシーの歌」

カルメンと女たちは、激しく踊る。カルメンを見ていた中尉に、酒場の主人が声をかける。

酒場の主人

中尉、そろそろお帰りになっては?すでに閉店時間ですから。なぜか、うちの酒場が目をつけられているようなんですけど・・・

中尉

そうだ。この酒場は、密輸のアジトとにらんでいる。まだ、軍に戻るには早いな。女たちを芝居に連れて行こう。カルメン、行かないか?

カルメン

行かないわ。

中尉

怒っているのか?一ヶ月前に、お前を牢屋に入れようとしたから。お前を逃がした伍長は、格下げになって、軍の懲罰房に入ったよ。

カルメン

格下げになったって?

中尉

か弱い女が、男を突き飛ばして逃げるなんて、おかしいからな。一ヶ月牢に入り、今日出てきたところさ。

カルメン

そう。よかったわ。

酒場が急に賑やかになる。闘牛士のエスカミーリョが、ファンたちを引き連れて入ってきた。

中尉

闘牛士か。こっちの席に呼ぼう!!君たちの勇気に乾杯だ!

エスカミーリョ

こちらこそ、お招きありがとう。

兵士と闘牛士は同じようなもの。戦いに身を捧げているから。興奮の闘牛場の中で、牛と戦うんだ。

「闘牛士の歌」Toreador

カルメンは、エスカミーリョのグラスに酒を注ぐ。

エスカミーリョ

名前は何だい?今度闘牛場で牛を倒すときに、君の名前を叫ぶよ。

カルメン

私の名前は、カルメンよ。私を愛するのはどうぞご自由に。でも、私に愛されることは期待しないで。

エスカミーリョ

ああ!では、待つとしよう。希望を捨てずに。

中尉

カルメン。俺と一緒に来ないんだな。まあいいさ。またここに戻ってくるよ。闘牛士さん。あんたの飲みの仲間に加えてくれ。

エスカミーリョ

光栄ですよ。

エスカミーリョは、兵士たち、闘牛士の仲間やファンたちを引き連れて酒場を出て行く。


酒場には客がいなくなった。カルメンとジプシーの男女(男ふたり、女ふたり)が話をしている。

ジプシーの男

うまい儲け話がある。女の仲間が必要だ。もちろん、女たちは入ってくれるよな。

カルメン

私は無理よ。恋をしているから。

ジプシーたちが話し合っていると、酒場の外から、ホセの声が聞こえてくる。

ドン・ホセ

(ホセの声)
アルカラの竜騎兵だ。名誉のために戦うぞ。

ジプシーたちは、酒場からホセを見る。女たちは「彼はイケメンね」と言っている。

ジプシーの男

あの男も、俺たちの仲間に入れるんだ。

カルメン

そうできたらいいけど、無理よ。真面目だから。

ジプシーの男たちは「そんな説明でお前が仲間に入らないなんて、親分は納得しない」とその場を離れる。それを追いかけるジプシー女たち。また、ホセの声が聞こえてくる。

ドン・ホセ

(ホセの声)
アルカラの竜騎兵だ。愛しい女のもとに行くぞ。

酒場にホセが訪ねてきた。カルメンは、喜んで迎える。

カルメン

やっと来てくれたのね!私が脱走できるように、やすりと金貨を送ったのに。やすりで牢を壊せるし、金貨で服を買って、軍服から平服に着替えられたのに。

ドン・ホセ

僕は軍人だ。恥ずかしい真似は出来ない。やすりは使わずに大切に思い出として取っておく。この金貨は持ってきたよ。

カルメンは、金貨でご馳走を準備させる。

カルメン

私のことを恨みに思っているんじゃないの?牢に入り、伍長の位も剥奪されて。

ドン・ホセ

そんなこと、どうでもいいんだ。君を愛しているから。

カルメン

ジプシーは恩を忘れないのよ。さあ、たくさん食べてちょうだい。そういえば、あなたの中尉が酒場に来たのよ。踊ってあげたわ。中尉が、私を好きだって口説いてくるの。

ドン・ホセ

カルメン、何だって!!

カルメン

やきもちね。あなただけのために踊るわ。

カルメンが踊り始めると、遠くで軍のラッパの音が響いてくる。

ドン・ホセ

ラッパの音だ。軍に戻らないと。

ホセは、カルメンの腕を取って踊りをやめさせる。軍に帰ろうとすると、カルメンは激怒。

カルメン

そんなに帰りたいなら、さっさと帰れば。あんたの愛なんて、信じられないわ。

ドン・ホセ

ひどいな。信じてくれ。

お前が投げたこの花を、軍の懲罰房に入っている間、ずっと持っていたんだ。枯れても、甘い花の香りが漂っていた。暗闇の中で、花の香りを嗅いでいたんだ。

恨んだり呪ってやろうと思った。その後、自分を責めたさ。残った望みはひとつ。お前に会いたい。カルメン、愛している!!

「お前が投げたこの花は」La Fleur que tu m’avais jétée

ホセは、カルメンの投げた花を取り出して、愛を伝える。

カルメン

いいえ、好きじゃないのよ。もし私が好きなら、私から離れないわ。私についてくるべきなのよ。

ドン・ホセ

いや、軍には戻る。永遠にさよならだ。

カルメンは説得するが、ホセは、軍に帰ろうとドアに向かう。カルメンに気がある中尉が酒場に戻って来た。

中尉

カルメン!戻ってきたぞ。ホセ!何でお前がいるんだ。出て行け!!

ドン・ホセ

出て行かない!酷い目にあわせてやる!

ホセは、カルメンを巡り中尉とトラブルになってしまい、決闘寸前に。ジプシーの男たちが出てきて、中尉を縛り上げる。

カルメン

中尉さん、しばらく縄で縛らせてもらうわ。ホセ、これであなたも仲間入りね。

ドン・ホセ

仕方がないな。

上官に刃向かい、どうしようもなくなり、軍から離れて、カルメンと密輸団の仲間に入る。

カルメン第3幕 破局寸前。闘牛士の訪問とホセ母の病の知らせ

セビリャ近郊、山の中にある、密輸団のあじと

真夜中の岩山。ジプシーの男たちが荷物を抱えて山を登っている。

ドン・ホセ

僕が怒鳴ったりして悪かった。仲直りしよう。もう愛していないのか?

カルメン

もう前ほど愛していないわ。私に指図して、束縛するのをやめて。私は自由でいたいの。

ドン・ホセ

母さんは、きっと僕がまだ善人だと思っている・・・

カルメン

帰ればいいじゃない。止めないわよ。この仕事は向いていない。あんたはすぐに命を落とすわ。

ドン・ホセ

そういうお前だって命を落とすだろう。そんなに別れ話をするのなら

カルメン

私を殺すっていうのね!!
(ホセは何も言わない)

いいわ。これまでに「カード占い」で何度も出ているのよ。私たちが一緒に死ぬだろうって。

カルメンは、嫉妬深いホセにうんざりしている。ジプシー女ふたりと、カード占いをする。女たちは「恋」「財産」のカードを引いた。

カルメン

今度は私がやるわ。
また「死」のカード。私が先に死に、ホセが死ぬのね。

カルメンの占い結果は、「死のカード」が出てしまう。「カルタの三重唱」

密輸の荷物を通すために、カルメンを含めたジプシー女たちが役人に色目を使い、その隙に荷物を通すことになった。ホセは一人残って、岩山にある荷物を見張ることに。


人気のないところに、ホセの幼なじみミカエラが現れる。その横に、びくびくした案内人がいる。

案内人

不気味な所でしょう。ここにいれば、ジプシーたちに会えますよ。それにしても、根性のあるお嬢さんだ。私は村に戻るよ。

ミカエラ

たいしたことじゃないわ。これくらい。

何を恐れることがありましょう。私が愛した男を取り戻してみせるわ。あの性悪女から。

あの岩場にいるのは、ホセだわ。

ひとり、ホセを連れ戻す決意をする。発砲音を耳にして、岩陰に隠れて、様子をうかがう。


カルメンに会うため、エスカミーリョが訪ねてきた。ホセがエスカミーリョに向けて銃を撃ったが、外れていた。

ドン・ホセ

おい!お前は誰だ。

エスカミーリョ

まあ、落ち着いて。私はエスカミーリョ。闘牛士だ。カルメンに会いにやってきたんだ。前に会ったときは他に恋人がいると言われたが、そろそろ別れただろうと思って。

ドン・ホセ

カルメンはただではやれない。ナイフで決闘しろ。

エスカミーリョ

ああ、なるほど。君がカルメンの恋人か。

ホセとエスカミーリョはナイフを構えて戦う。すぐに、エスカミーリョのナイフがホセの心臓を刺せる状態になる。

エスカミーリョ

そのナイフの構えは、ナバラ出身だな。だが、その構え方では、勝てないぞ。

わかっただろう。君の命は私の思うがままだが、私の仕事は牛を刺すこと。人の心臓を刺さない。

ドン・ホセ

遊びじゃないんだ。死ぬまでやる!

戦いが再開される。エスカミーリョが足を滑らせて、ホセに刺されそうになったときに、密輸から戻って来たジプシー男やカルメンたちがホセを止めに入る。

カルメン

ホセ!エスカミーリョ!!

エスカミーリョ

カルメンに命を救われるとは、嬉しいことだ。

皆さんがた、今度セビリャでやる闘牛に招待しよう。

周囲は、ホセがエスカミーリョに飛びかかろうとするのを押さえる。エスカミーリョは悠然と去って行く。


ジプシーの男たちが、岩陰に隠れていた、ホセの幼なじみ・ミカエラを見つける。

ドン・ホセ

ミカエラ!君がなぜここに。

ミカエラ

あなたを迎えにきたのよ。お母さんが泣いているわ。小さな家で祈りながら、あなたの帰りを待っているわ。

カルメン

ホセ、早く帰りなさいよ。あんた、私たちの仕事に向いていないのよ。

ドン・ホセ

嫌だ。帰らないぞ。お前は新しい恋人のもとに行くだろう。絶対に帰らない。

ミカエラ

最後に一言言わせて。お母さんは今日か明日の命なの・・・。息子に一目会いたいと言っているわ。

ドン・ホセ

母さんが!!わかった。

喜べよ、カルメン。でも、僕はすぐに戻ってくるぞ。

ホセは、カルメンに未練を残しつつ、帰ることにする。

カルメン第4幕 ホセがカルメンを刺殺

セビリャの闘牛場前の広場

闘牛場の入り口が見える広場。闘牛試合がもうすぐ開催される。オレンジや扇の売り子たち、試合を見るために集まった観客で、混雑している。ジプシー女たちと中尉が、立ち話をしている。

ジプシー女

カルメンは、新しい恋人のエスカミーリョの応援にもうすぐ来るはず。そういえば、昔の恋人のホセはどうなったの?

中尉

ホセは、軍逃亡の罪で探されているぞ。母親の村に来たところを逮捕されそうになって、逃げたそうだ。もうすぐ捕まるだろう。

ジプシー女

私がカルメンなら、怖いわ。


ファンファーレが鳴り、闘牛士たちが入場していく。入場をみて、群衆は盛り上がっている。エスカミーリョのそばには、美しく着飾ったカルメンがいる。

エスカミーリョ

カルメン、もうすぐ私の仕事ぶりを見て、誇りに思うだろう!

カルメン

エスカミーリョ。私は今までこれほど男を愛したことはなかったわ。

エスカミーリョは、闘牛場の入り口に入っていく。それを見送るカルメン。ジプシー女が声をかける。

ジプシー女

カルメン、ここにいたら危ないわ。ホセがいるらしいのよ。

カルメン

今、あそこにいるホセを見つけた。あんな男にひるまない。私から声を掛けてやるわ。

広場に人がいなくなり、カルメンとホセだけになる。

カルメン

あんたがいる。命に気をつけろ、と言われたわ。でも、平気よ。逃げる気はない。

ドン・ホセ

脅迫しにきたわけじゃない。もう一度やり直そう。過去を忘れて、どこか遠くの土地で。

僕はお前の命を助けたいし、僕の命を助けたい。一緒に逃げよう。二人の命を救うんだ。

カルメン

もう愛していないのよ!

私は自分の心に嘘をつかないの。カルメンとホセの縁は切れたのよ。カルメンは自由に生きて、自由に死ぬの!!!

闘牛場から歓声が響き渡る。カルメンは、去ろうとする。

ドン・ホセ

どこへ行く?あの喝采を浴びる男のもとに行くんだな。行かせない!お前は僕についてくるんだ。あいつが好きなのか?

カルメン

そうよ!!死んでもエスカミーリョを愛しているわ。

ドン・ホセ

あいつの腕に抱かれて、僕を笑うんだな。行かないでくれ。脅迫なんかしたくないんだ。

カルメン

私を刺すか、このまま行かせるか決めてよ。いつまでこうやってないといけないのよ。いい加減決めて。

いらないわ。あんたに昔もらった指輪、あんたに返す!!

ホセからもらった指輪の投げつける。ホセは激高し、カルメンを刺し殺す。

ドン・ホセ

僕を逮捕してくれ!カルメンを殺した!大事な女を!

実際にオペラ「カルメン」の舞台を観るなら

人気の演目なので、定期的に「カルメン」は上演されています。

【公式】新国立劇場オペラ「カルメン」の公演情報

おすすめ「カルメン」のDVD

2010年、メトロポリタン歌劇場。

エリーナ・ガランチャ、ロベルト・アラーニャ

アマゾンのクチコミでも、評判がいいです。カルメンを観るなら、これが一番オススメ。

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